国立情報学研究所が過去25年分の台風画像DBを公開

ユーザー参加型情報サイトも同時展開、学術・社会両面で活用推進

 2006.07.22−国立情報学研究所(NII)の北本朝展助教授ら(コンテンツ科学研究系)のグループは、昨年までの25年分の台風の画像を集めたデータベース(DB)を作成、19日からウェブサイト「デジタル台風」(http://www.digital-typhoon.org)にて公開した。台風の数で934個、約14万枚の画像を集めており、台風に特化した公開型DBとしては世界有数の規模になる。また、ブログなどを利用して一般ユーザーから現地などの台風情報を時々刻々と集め、台風の動きと関連づけて情報を表示させるサイト「台風前線」(http://front.eye.tc)も運営を開始しており、合わせて学術面と社会面の両方での活用を推進していく。

 「デジタル台風」は、気象衛星ひまわりが撮影した画像から台風部分を切り出し、発生から消滅までのさまざまな段階の画像を集めてDB化したもの。データ件数は、“台風”が665個/10万7,413件、豪州地区の“サイクロン”が269個/3万304件、合わせて934個/13万7,717件に達する。

 台風画像に関しては、名称や日時、経路・地名、中心気圧、最大風速などで検索できるほか、最大の特徴として類似画像検索が可能。台風画像そのものをクエリーとして、似通った形状を描く台風画像を探し出すことができる。

 パソコンのブラウザー上で利用するほか、携帯電話や携帯情報端末(PDA)からの利用にも対応を進めており、各台風の発生からの画像データをまとめてダウンロードして、iPodでアニメーション表示させるなどの楽しみ方もできる。

 一方、新しく公開された「台風前線」は、ブログを利用して全国の一般ユーザーからのコメントを集める参加型台風情報サイト「台風への眼」(http://eye.tc)に寄せられたテキストを、台風の動きとともに地図上で時系列順にポップアップさせながらアニメーション(フラッシュ技術を利用)させるサイト。情報の内容自体は「台風への眼」で集めたものと同じだが、見せ方を変えることによって新しい発見につながることが期待されるという。

 研究グループでは、今後は大量の画像を活用した台風解析・予測技術や、地球温暖化などの気候変動と台風の活動性との関連といったテーマで研究を発展させたい考え。同時に、「台風前線」にさらに多くの参加者を募ることにより新しい防災などの取り組みにつながらないか検討を進めたいとしている。