2006年秋CCS特集:アクセルリス

ミドルウエア戦略を推進、コンソーシアム展開にも勢い

 2006.12.13−アクセルリスは、包括的な研究開発支援システムの共通プラットホームとして働くミドルウエア製品「パイプラインパイロット」(PP)を中心に、ソリューション志向の事業展開を強めている。同社が先端的なソフトを開発する際に用いるコンソーシアム戦略も順調で、来年には新しいプロジェクトの立ち上げも計画されている。

 PPは、同社が買収したサイテジック社の製品で、パートナー戦略(20社と提携)を推進するうえからも中立性が保たれている。化合物や実験データ、テキスト、イメージなど各種のデータを扱ったり、外部のソフトウエアを組み合わせて連携させたりするワークフロー機能を持っている。アクセルリスでは、PPを開発環境に採用しており、代表的な製品である生命科学向けの「ディスカバリースタジオ」(DS)と材料科学向けの「マテリアルスタジオ」(MS)にもプラットホームとして組み込まれている。

 例えば、年末から来年にかけてのバージョンアップで、DSの中からMSの量子化学計算機能をシームレスに利用できるようになるが、これも背後ではPPが動いているという。PPの採用以降、全体として開発のピッチが上がってきているということだ。

 PP自体の製品構成としては、用途に合わせたコンポーネントを“コレクション”というかたちでそろえており、テキストマイニング、レポーティング、統計解析、配列解析、ADME(吸収・分布・代謝・排出)予測−などのコレクションがラインアップされている。ただ、実際には製品主体の展開ではなく、ユーザーがやりたいことや課題を理解し、PPを使ってそれを解決するというソリューション提案型のビジネスを狙っていく。

 一方、コンソーシアムについては、ナノテクノロジーコンソーシアムが来年8月で期限となる。ONETEP、GULPなどの新しい計算エンジンが注目されているが、一般販売の解禁は2008年以降になる予定。現在、第2期が計画中とされているので、そちらに加盟すれば早期に入手することができる。また、ソフトマテリアルを対象にしたナノバイオイニシアチブも今年4月からスタートしており、引き続きメンバー募集中だ。

 これらに加え、来年4月からケムインフォマティクス分野の新コンソーシアム立ち上げの予定がある。3年計画でPPを基盤にして、ケムインフォ製品である「アコード」のソリューションを強化していくという。