2006年秋CCS特集:エルエイシステムズ

新体制で新たなスタート、NMR関連ソフト技術で強み

 2006.12.13−エルエイシステムズ(LAS)は、今年の6月に生体分子計測研究所(RIBM)の100%子会社として再出発した。1993年に設立以来、NMR(核磁気共鳴)のデータ解析ソフトやPCクラスターを中心とする高速計算環境の構築・運用サービスなどを通じ、ユニークなポジションを築いてきている。新体制のもと、来年度からは新たな事業展開にも挑戦していく。

 現在の主力製品は、多次元NMRデータの処理・解析ソフトとして米国立衛生研究所(NIH)で開発された「NMRPipe」、パーチソリューションズの1D−NMRスペクトル解析・予測ソフト「PERCH」、チューリヒ連邦工科大学(ETH)のピーター・ギュンタルト教授らが開発したたん白質立体構造予測ソフト「CYANA」、化学研究で利用される各種測定器のデータ管理・解析を中心とした幅広いソフトウエアスイートをそろえたACD/Labs社の製品群など。このほかに医用画像処理ソフトウエア分野でも実績豊富である。

 これまでは海外の優れた製品を紹介することが多かったが、国内の研究者にはやはり国産ソフトが使いやすいという観点から、今後は国内の先進的なソフトの発掘・育成・共同開発にも取り組みたい考え。すでにいくつかの話が進んでおり、順調なら年度内にも具体的なプロジェクトに着手できる可能性があるという。

 また、来年度のテーマとしては、LASとRIBMとの共同事業を実現し、グループとしてのシナジーを発揮することがあげられる。RIBMは生体分子を計測するためのマルチプローブ走査型顕微鏡などを製作・販売しており、LASとはユーザーが共通している場合も多い。RIBMのハード技術とLASのソフト技術を組み合わせるアイデアがいくつか浮かび上がってきており、それらを徐々に具体化させたいとしている。

 新生LASとしては、今年度を組織固めの年とし、来年度に売り上げなどをピーク時の規模に回復させたあと、3年目にさらなる飛躍を図るという青写真を描いている。