米オラクルのエドワード・アボCRM担当上級副社長:CRM戦略を聞く

サービス型との柔軟な組み合わせ、製薬業向け機能さらに強化

 2006.12.04−ソフトウエア業界で今年もっとも話題になった大型合併は、オラクルとシーベルによるものだろう。CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の最大手であるシーベルが、データベース、ミドルウエアからアプリケーションまで幅広い事業領域を網羅するオラクルの傘下に入った。同社のCRM担当上級副社長であるエドワード・アボ氏は「オラクルとの統合により、ソリューションのスタックがフロントオフィスからバックオフィス系にまで広がったことが大きい。企業の基幹アプリケーションを包括的に提供できるので、ユーザーにとってもIT(情報技術)投資に対するTCO(総所有コスト)が下がるというメリットがある」と話す。業種別戦略や話題のオンデマンド型サービスへの展開を含め、今後の戦略を聞いた。

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 シーベルのもともとの強みは水平・垂直に網羅された広範な製品ラインアップで、SFA(セールスフォースオートメーション)、コールセンター、フィールドサービス、マーケティング、インセンティブ、オーダー管理などのCRM領域の包括的なソリューションを、金融、通信、ハイテク、小売り、ライフサイエンス、消費財といった業種に特化したかたちで提供できることにある。

 アボ氏は、「合併後のオラクルの市場シェアは約60%。ユーザー数は500万シートで、2位のベンダーに10倍の差をつけている」と胸を張る。具体的な合併効果に関しては、「CRMはフロントオフィス系のアプリケーションだが、ERP(エンタープライズリソースプランニング)などのバックオフィス系の基幹システムとのデータ連携が重要になってくる。その意味で、オラクルとの統合は意味深い。例えば、製薬業に関しては、会計や販売といった通常のERPの領域に加えて、臨床試験や市販後調査、製造など業種特有のアプリケーションまでもカバーしており、顧客をあらゆるITの側面でサポートできる」と強調する。

 一方、最近のCRM市場ではオンデマンド型のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)が注目されているが、「なかには、すべてをサービスで提供してほしいという人もいるが、私としては従来のパッケージ型とオンデマンド型、そしてその組み合わせを自由に選択できるべきだと思う。コンプライアンスの関係で社内にシステムやデータを持ちたいという場合もある。主要な製品や事業に関してはパッケージで社内導入しておき、新しい事業や地域を対象にオンデマンドで追加導入するとか、オンデマンドからはじめて自社導入に移行するとか、実際にはさまざまな顧客がいる」と述べる。

 また、「とくに柔軟性が大切。オラクル(シーベル)のオンデマンドサービスは、シングルテナントにもマルチテナントにも対応している。そして、オンデマンドとパッケージの両方に互換性があり、相互運用できることが最大のポイントになるだろう」との見方を示した。

 さて、製薬業向けでは1998年からソリューションを充実させ、16万シートの導入実績を築いているが、今後はさらに医薬情報担当者(MR)が外出先から利用できる分析機能を強化していく考え。いわば、MR向けのビジネスインテリジェンス(BI)ツールで、すでに製薬トップ20社のうち11社が採用しているが、さらなる機能強化を図っていく。加えて、「市販薬では、一般消費者向けのマーケティング分野にソリューションを広げたい。また、新薬の市場投入をスピードアップさせるため、臨床試験データをバックオフィスのシステム群と統合化することも考えている」と紹介する。

 とくに、日本の製薬業に対しては、「これまでも日本市場特有の要望を取り入れるべく努力してきた。日本は、とりわけ医師への訪問頻度が高いという特徴がある。きめ細かな医師とのコミュニケーションをサポートできるように、これからも顧客ニーズを反映させていく」とした。