PTCジャパンが製薬業向けシステム戦略を強化

XMLでテキストを部品化・再利用、各種規制対応文書作成・管理効率化

 2006.12.28−設計ソリューションベンダーのPTCジャパンは、新規事業の一環として製薬業向けシステム分野を強化する。米本社が10月に「ストラテジックインダストリー部門」を新たに組織し、製薬業を重点業種に位置づけたことを受け、製品戦略・パートナー戦略を充実させる。主力製品は、昨年7月に買収したアーバーテキスト社の動的電子出版システム。XMLをベースにしているため、法規制への準拠が求められ、定型的なスタイルが多い製薬関連の文書作成に適している。文書を構成する“部品”を管理する新製品も販売開始しており、ソリューションの価値が大幅に高まった。

 PTCは、設計データを製品開発サイクル全体にわたって共通化し、設計変更などに柔軟に対応できるようにするPLM(製品ライフサイクル管理)のトータルベンダー。アーバーテキスト製品と組み合わせることにより、各種技術文書に埋め込まれた設計情報を動的に連動させるダイナミックパブリッシングシステムを実現している。

 アーバーテキスト自体は1982年の設立で、XML技術のリーダー企業としてエディターとパブリッシングエンジンを製品化していた。文書管理機能がないために、ドキュメンタムとの連携機能を備えていたが、PTCとの統合後は、PLMのハブとして働く「Windchill」(ウィンチル)を介して文書管理を行う仕組みとなっていた。

 ただ、CADデータや設計情報とのダイナミックなリンクを必要としない製薬業などのユーザーには、ウィンチルはオーバースペックであり、リーズナブルなソリューションの登場が待たれていたという。

 今回同社が開発した「アーバーテキスト・コンテンツマネジャー」は、ウィンチルのコンテンツ管理機能を独立させ、強化した製品となる。製薬業では、政府当局への申請文書、医薬品に添える添付文書、ラベル、パッケージなど、文面を部品化して再利用できる分野が多い。とくに、申請文書は同じ医薬品であっても、剤型や成分量・成分比などの違いで何種類もの文書を作成する必要がある。また、“部品”単位で各国語に翻訳しておくことにより、各国別の文書をそれぞれに対応したフォーマットで一気に出力するといった用途で活用している例もある。

 臨床試験のGCP、製造関係のGMPといった規制に関しても、各種文書の作成・管理において幅広く利用することができる。標準的な導入費用としては、システムインテグレーションも含めて2,000万−3,000万円程度になるという。

 国内では、旧アーバーテキスト時代からのパートナーとして、富士ゼロックス情報システムやシーエーシー(CAC)などが製薬業向けの実績が豊富。これらに加え、PLM関連のパートナーの中からも日立システムアンドサービスなど、この市場に関心を示すところが出てきているため、パートナーの布陣もあらためて強化していく。

 米本社のストラテジックインダストリー部門とも密に連携しながら、日本法人としては製薬業向けで年間1億円程度の売り上げを目指す。