リアクション・デザインのモデル燃料コンソーシアムが2年目に突入

ホンダ・マツダなど5社が新規加入、次世代エンジン開発へ支援技術確立

 2007.01.05−シミュレーションベンダーの米リアクション・デザインは、2年目に入った「モデル燃料コンソーシアム」に、本田技術研究所とマツダ、フォード、コノコ・フィリップス、カミンズの5社が新メンバーとして加入したことを明らかにした。大幅な排ガス低減と燃費向上を両立できる次世代自動車エンジン開発のための燃焼シミュレーション技術を確立することを目的としたもので、1年目からのメンバーに加えて合計で12社となった。日米欧のエンジン設計と燃料開発の両面にわたるノウハウが結集されつつあり、今後生み出される開発成果が注目される。

 モデル燃料コンソーシアム(MFC)は、混合圧縮着火燃料方式(HCCI)などの次世代エンジン開発に向けた基盤技術確立を目指すプロジェクト。エンジン内部における燃焼プロセスを化学反応動力学によって解析することにより、エンジン制御や触媒後処理を通しての着火挙動、ノック性状ならびに望ましくない副生物の低減などのシミュレーションを行う。

 数千の化学成分からなる実燃料を、単純化されたサロゲート成分から構成される“モデル燃料”としてモデル化することがポイントで、この1年間で新しいサロゲート成分の反応機構を追加するとともに、詳細な文献調査と2,000 CPU時間以上のシミュレーションによって、モデルの正確さを検証してきた。

 また、同社の化学反応シミュレーターである「CHEMKIN」と組み合わせて使用できるモデル燃料向けの反応経路解析ツール、リサーチオクタン価(RON)およびモーターオクタン価(MON)と限界圧縮比との相関予測ツールなどの開発も進んだ。

 2年目のコンソーシアムメンバーは、カーメーカとしてトヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車工業、本田技術研究所、マツダ、PSAプジョー・シトロエン、フォード、エンジンメーカーのカミンズ、燃料系のシェブロン、コノコ・フィリップス、ダウ・ケミカル、フランス王立石油研究所となる。開発の方向性や優先順位はメンバー間の論議と投票によって決定される。

 コンソーシアムの技術リーダーは、元ローレンスリバモア研究所のチャールズ・ウエストブルック博士で、アドバイザリーコミッティーには東京大学の越光男教授、福井大学の安東弘光教授も参加している。

 コンソーシアムの期日は2008年12月で、2年目以降はさらに目標とする代表燃料の拡張、実エンジン条件化でのモデル検証、反応機構の拡張・適用・評価ツール開発、シミュレーション用データベース蓄積などを進めていくことにしている。