2007年春CCS特集:富士通

独自ノウハウで創薬支援事業進出、化学・材料系製品群再編も

 2007.06.28−富士通は、CCS事業を20年以上継続してきたノウハウを生かし、本格的に創薬支援サービスに乗り出した。これにより、CCSを利用した研究の方法論の有効性を実証し、ソフトウエアとサービスの両輪をそろえることによって事業としての飛躍を目指していく。

 今回のサービスメニューには、立体構造がわかっているターゲットたん白質に結合する薬物分子構造を探索し、その抽象構造を創出したり実構造を決定したりするサービス、またペプチド医薬品を対象とした候補配列を実験情報を使わずに創出・設計するサービス、たん白質とリガンドの結合・解離のプロセスにおける自由エネルギー変化を実験と同等のレベルで精密に求めるサービス−などが用意されている。これらで利用される先端ソフトの使用権供与、受託解析、受託研究などを通して実際のサービスを行う。

 同社では、CCSを利用した創薬方法論はすでに試行錯誤の段階を脱しているとしており、今年度内にも明確な結果を出して、技術の有効性を実証したい考えだ。

 一方、パッケージソフト事業は、海外製品のACD/Labs、ケンブリッジソフトとも好調を持続し、順調な成長をみせている。

 自社開発品では分子動力学法を基盤とした「マテリアルズエクスプローラー」、CACheの後継製品としての統合システム「Scigressエクスプローラー」、有機合成経路探索支援システム「SynthPathエクスプローラー」など、化学・材料系製品群を再編成した。

 共通のプラットホームで多様な製品を統合化していく計画も示されており、今後の同社の事業展開が注目されている。