インフォコムが次世代化合物DB管理システム「J-STRIKE」を製品化

帝人ファーマでのプロジェクトをベースにパッケージ化、ケムアクソンのJChem採用

 2007.06.11−インフォコムは、ウェブベースの次世代型化合物データベース(DB)管理システムを開発し、「J-STRIKE」の名称で製品化した。昨年秋に帝人ファーマに対して化合物DBシステムのリニューアル構築を担当した実績をもとに、一般向けにパッケージ化したもので、外部のアプリケーションとの柔軟な連携が可能。この分野は海外製のパッケージが主流だが、化学・製薬企業の研究開発の情報基盤となる重要システムでもあることから、自社でシステム構築できる優位性や低コスト・短納期を武器に積極的な事業展開を図っていく。当面、3年間で3億円の売り上げを目指す。

 J-STRIKEは、ハンガリーのケムアクソン社が開発した化学情報検索エンジン「JChem」を中心に、化合物情報の登録、構造検索、DB管理といった基本機能をパッケージ化した製品。化合物情報の関係した各種アプリケーションのコアとして働くとともに、ウェブベースの使いやすいユーザーインターフェースを備えているため、研究所の情報基盤として高度な機能を発揮することが可能。

 インフォコムは、ケムアクソンとVAR契約を締結しており、このエンジンを完全にJ-STRIKEに組み込んだ形で提供する。また、システムインテグレーターとしての総合力を生かし、研究室単位から全社システムレベルまで、個々のユーザーニーズに合わせた最適なシステム構築を行う。

 オラクルのデータカートリッジ技術に対応しているため、他社のワークフロー管理ツールやデータマイニングツールなどとの連携も容易である。

 帝人ファーマの事例では、要件定義がすんだあと、昨年4月から基本設計に入り、同10月には稼働が開始された。もともとのシステムはElsevierMDLのISISだったが、社内の化合物データの移行に加えて、試薬DBはケンブリッジソフトのChemACXをインポートすることで対応。反応情報検索はオンラインサービスで代替した。また、ISISとインテグレートしていた生物系DBシステムのアクティビティベースと、データマイニングシステムのスポットファイアーも、JChemとの連携を実現させた。ISISの後継製品を採用するよりも、かなりコスト的にも安かった(投資額は半分程度)とされる。

 今回のJ-STRIKEは、このプロジェクトをベースにパッケージ化されたものであり、ライセンス料としては主要な競合製品の5分の1以下となる場合もあるようだ。

 同社は、化学DBシステム/ケムインフォマティクスに関しては今回が初参入となるが、計算化学や分子設計、バイオインフォマティクスでは長年の実績を持っており、これら製品群と合わせて、これからも創薬支援のトータルソリューションを充実させていく。