トムソンサイエンティフィックが国内の事業基盤を強化

独立した事業部門とし日本代表を任命、顧客ニーズ優先へ革新

 2007.06.19−トムソンサイエンティフィックは、12日に東京・大手町のサンケイプラザにユーザーなど約300人を集めて、「トムソンサイエンティフィックフォーラム2007」を開催した。全体セッションには今年2月に新たに日本代表に就任した長尾正樹氏が登壇し、同社の新体制と今後の基本戦略を説明した。今回、日本が独立した事業部門となり、「よりスピーディーな意思決定、また日本市場のニーズに合わせた製品開発やフレキシブルなサービス提供が可能になる」(長尾代表)という。

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 トムソンサイエンティフィックは、グローバルな総合情報プロバイダーであるトムソンコーポレーションを構成する1社。グループ全体で従業員は4万人、売り上げも約87億ドルにのぼるが、法務関係の情報を扱う「トムソンリーガル」と投資家向けに金融情報を提供する「トムソンファイナンス」が大きく、会計・税務・企業財務のプロ向けの「トムソンタックス&アカウンティング」、学術情報サービスの「トムソンサイエンティフィック」、ヘルスケア・医療業界向けの「トムソンヘルスケア」−と続く。

 トムソンサイエンティフィックとしては、ユニークな引用文献データベースで知られるISIを基盤とした“学術研究情報ソリューション”、ダウエントをベースにした“特許情報ソリューション”、豊富な情報を製薬業向けの切り口で提供する「ThomsonPharma」を中心とした“製薬バイオ情報ソリューション”−の3部門に大きく分かれている。

 もともと、情報の豊富さ、正確さには定評があるが、そうしたコンテンツの中身だけでなく、利用者のワークフローに即した形で情報ソリューションを提供できるようになることを目指している。この点を長尾代表は、「情報に簡単にアクセスできること、それを分析するツールが揃っていること、それらの情報が統合化されていることがまずは基本。そのうえで、ビジネスや研究の意思決定において、即断できる情報を顧客志向で提供することが重要になる」と説明する。

 さて、今回、日本が独立した事業部門となり、専任の代表者を置いたことには、グループにおけるアジア地域の重要性が高まっているという背景がある。学術分野において、アジアからの情報発信も活発化しており、とくに日本はトムソンサイエンティフィックとして単独の国では米国に次ぐ世界第2位の市場になっているからである。

 今後は独立によって強まった権限を生かし、日本市場向けのサービスを強化する考え。サポート関係はもちろん、製品面でも日本語化や日本語コンテンツの収録、日本の顧客に向けた最適な製品デザインなどを進めていく。「いずれにしても、従来のやり方にとらわれず、顧客ニーズを優先させて柔軟な発想・革新的な発想でビジネス展開をしていきたい」(長尾代表)としている。