マイクロソフトがWindowsCCSの次期版ロードマップ

来年央にバージョン2をリリース、大規模スパコン用途まで照準

 2007.07.03−マイクロソフトは、PCクラスター専用のWindowsサーバーOS「Windowsコンピュートクラスターサーバー」(WindowsCCS)の今後のロードマップの一部を明らかにした。PCクラスターの構築および運用管理の敷居を下げ、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の大衆化を目指した現在のバージョン1に対し、来年6月−9月に出荷が予定されるバージョン2では、より大規模なアプリケーションにも対応できるようにしていく。

 WindowsCCSは、64ビット版のサーバーOSであるWindowsサーバー2003をベースに、業界標準のMPI2をサポートする「コンピュートクラスターパック」を組み込んだ製品となっている。昨年10月にリリースされた。比較的小規模なクラスターを対象にしているが、今年の6月に発表されたスーパーコンピューターの世界トップ500では、106位にマイクロソフトの社内システムが、193位に三菱UFJ証券に導入されたシステムがランクインするなど、実績も目立ちはじめている。

 さて、次期バージョン2(開発コード名・ソクラテス)は、今年の11月にベータ版が公開され、2008年6月に英語の製品版、その3ヵ月後に日本語版がリリースされる予定となっている。大規模なHPC環境で、科学技術の先端研究に利用される本格的なスパコン用途を狙った製品となる。

 ベースがWindowsサーバー2008(ロングホーンサーバー)に変わるほか、数千ノードまでの拡張性を実現するため、通信ライブラリーをつくり直し(現在使用しているWinsockをやめる)ている。ジョブスケジューラーも強化する予定で、バッチだけでなく、ウェブサービスを介してインラタクティブに利用することが可能になる。

 また、現在はアクティブディレクトリーのセッティングが不可欠であるため、現場以外ではインストールできない仕様だが、バージョン2ではシステムの出荷時にベンダー側でOSをプリインストールしておけるようにするという。今回のトップ500で106位に入ったシステムは、このバージョン2の開発に利用されている。

 なお、バージョン3(開発コード名・アリストテレス)では、Windowsサーバー2008の仮想化機能をフルに活用することや、メニーコア対応の新しい並列プログラミングフレームワークを用意することなどが計画されている。

 *バージョン1の開発コード名はプラトンだった。マイクロソフトは、WindowsCCSには哲学者の名前をコード名にする方針のようだ。