2008年春CCS特集:アドバンスソフト

ナノ材料向け計算速度向上、バイオ系でも新計算手法

 2008.06.25−アドバンスソフトは、文部科学省プロジェクト「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」(RSS21)の最終成果を踏まえて、商用パッケージとしてのCCS製品群のさらなる発展を図る。

 同社は、中核メンバーとしてプロジェクトに参画するのに並行して、開発成果の商用化を推進。とくに、ナノ材料向け第一原理計算ソフト「Advance/PHASE」は、この分野で海外のソフトに対抗し得る国産ソフトとして評価が高い。

 今年夏には、プロジェクトの最終版をベースに拡張したバージョン2.5をリリース予定。全体として計算速度の向上が図られており、SCF計算の能力が最高2倍に高められているほか、バンド計算プログラムである ekcal の並列化対応、Windows版でのマルチコア対応(SMP並列)などの機能強化を実現させる。

 一方、ライフサイエンス向けの「Advance/BioStation」も同時期にバージョン3.1に更新される。分子軌道計算の2電子積分の効率化などスピードアップが図られるほか、新しいXUFF力場の採用により量子力学と分子力学のハイブリッド計算の柔軟性が増すことになる。とくに、XUFFとMP2法のハイブリッドは、通常のハートリーフォック法よりも計算時間が短く、MP2を採用したマルチレイヤーFMO計算に近い計算精度を引き出すことが可能。このように計算速度が向上することは、実際の研究における実用性が高まりに大きく貢献すると期待される。

 同社は、これらパッケージソフトの販売に加えて、個別ニーズに対応する受託解析サービスも手がけているが、最近ではソフトマテリアル解析シミュレーター「Advance/OCTA」に関連したサービスが増えているという。