2008年春CCS特集:日本総研ソリューションズ

ナノ材料開発向け着実に浸透、ユーザー要望に迅速対応

 2008.06.25−日本総研ソリューションズは、経済産業省プロジェクトに基づく「OCTA」をベースにした商用版「J-OCTA」を開発し、ナノテクノロジー分野の材料開発を支援している。力学特性、界面特性、透過・拡散特性、熱特性など高分子材料のナノ領域を解析できる国産CCSとして、着実なペースで普及を遂げてきている。

 J-OCTAは自社製品であるため、ユーザーの要望を取り入れて小回りのきいた開発体制をとれることが特徴。例えば、昨年11月にリリースされたバージョン1.3では、分子動力学法(MD)計算において高精度な力場パラメーターを提供できる米イーオンテクノロジーの「ダイレクトフォースフィールド」(取り扱いは菱化システム)とのインターフェースを実現したが、これも先端領域の計算であるためパラメータがないことに悩むユーザーからのリクエストだったという。

 また、この4月にはバージョン1.3のサービスパック1をリリースしているが、ここではフリー版OCTAの最新バージョン「OCTA2007」で公開された粗視化分子動力学エンジン「COGNAC」の最新版への対応を行った。J-OCTAのエンジン群の中でも、COGNACは最も利用者が多く、プログラムの更新も速い。そこで、優先して対応することにしたのだという。

 一方、今年の11月には次のバージョン1.4のリリースが控えている。とくに、ソフトの敷居を低くして導入しやすくすることがポイントになるという。

 具体的には、有機材料中に無機物が分散しているなどの複雑な系において計算のための初期構造・初期配置を決定するための支援ツールの提供、新エンジン「NAPLES」を含む解析事例集の強化、物性推算機能の搭載などが予定されている。同社では、ソフトの販売とともに受託解析サービスも展開しているが、そこでの経験をフィードバックして開発中だという。