シミックスが電子実験ノート統合製品を本格展開

共通基盤としての万能型ノートを志向、周辺ソリューションとの統合で価値

 2008.08.01−シミックス・テクノロジーズ・ジャパンは、電子実験ノートブック(ELN)の統合製品「SymyxNotebookバージョン6」の事業展開に拍車をかける。有機合成実験を行うメディシナルケミストリーだけでなく、幅広い研究者の業務に役立つ万能型(ユニバーサル)ノートブックだと位置づけており、用途を広げるための機能強化を順次実施していく。また、具体的な導入を行う際のシステム構築を支援するため、CTCラボラトリーシステムズおよび新日鉄ソリューションズとパートナー契約を結んだ。

 昨年10月に合併した旧シミックスと旧MDLは、それぞれ独自のELN製品を持っていた。両社のシェアを合わせると26%となり、トップのケンブリッジソフト(28%シェア)に迫る勢力になったという。今回の統合製品で、業界リーダーとしての地位をさらに強固にしたい考え。

 SymyxNotebook6(SN6)は、共通のユニバーサルプラットホームの上に、業務に特化したソリューションモジュールをテンプレートとして組み合わせた構成となる。テンプレートの適用によって、メディシナルケミストリー向けの「DiscoveryNotebook」、プロセスケミストリー向けの「ProcessNotebook」、分析部門向けの「AnalyticalNotebook」、製剤開発部門向けの「FormulationsNotebook」−などとして使用することが可能。同社では、これまで専門特化してばらばらだった電子実験ノートを、共通のプラットホームで統一できることの利点が大きいとしている。

 テンプレートには、それぞれの用途別の作業プロセスが設定されるとともに、それぞれのドキュメント(実験ノートとしての体裁)の構成がセクションというかたちで定義されている。標準セクションは、テキスト、ファイル、フォームの3つで、これらを組み合わせて実験ノートとしてのレイアウトを作成することが可能。技術サービスの一環でセクションのカスタマイズにも応じる。

 基本的には旧シミックスのELN製品(インテリケムから買収した製品)がベースになっているようで、旧製品から統合製品へのマイグレーションは旧シミックス製ELNからの移行の方が容易だという。インテリケム製品に採用されていた“Vault”技術が引き続き基盤として組み込まれており、セクション内に記載された情報がバージョンごとにデータベースに一元管理されるので、ドキュメントの変更履歴も明りょう。21CFRパート11などの基準に沿ったかたちでドキュメントの閲覧や検索が可能になる。

 旧MDLの技術は、構造検索や反応検索などのサーチエンジンとして採用されているほか、構造式作図ソフトや化合物登録システム、試薬管理システムなど、ELNと連携して研究所内の業務改善を達成する周辺ソリューションとの統合を通じ、研究開発トータルでの生産性を高めることに大きく貢献している。

 SN6は、今年の9月(バージョン6.1)、12月(同6.2)、来年3月(同6.3)と小刻みなバージョンアップが計画されており、万能型ELNとして今後とも大幅な機能強化が図られるようだ。