SASが環境対策を可能とするサステナビリティソリューション

事業活動における二酸化炭素排出量を算定、収益性と環境配慮の全体最適を実現

 2008.07.11−SAS Institute Japanは9日、企業が社会的責任をふさわしく果たすサステナビリティ(持続可能性)経営を行うことを支援する観点で、新たに環境ソリューションを提供すると発表した。企業活動にともなう二酸化炭素排出量を定義し、収益性と環境配慮を両立させる最適なバランスをシミュレーションすることが可能。排出権取引など、新しい市場のリスク管理などにも対応することができる。ソフトウエアのライセンス価格は最小構成で約3,000万円。25日から出荷開始するが、年内に5社程度の受注を見込む。

 同社では、これからの企業の経営課題として、“経済的側面”に加えて“環境的側面”と“社会的側面”の3要素を考慮するトリプルボトムラインが重要になると位置づけている。この3つの要素をバランスさせる戦略策定を行い(Plan)、実行し(Do)、その結果を分析し(Check)、最適化を行って(Act)、戦略にフィードバックさせるという一連のサイクルを回すことが、同社の示すサステナビリティ経営につながるという。

 こうした企業パフォーマンス管理の手法を環境分野に持ち込んだものが今回のソリューションで、実績豊富なSASのビジネスインテリジェンス(BI)プラットホームが下敷きとなっている。

 とくに、企業のサステナビリティレポートに関する国際的なガイドラインとなっているGRI(グローバルレポーティングイニシアチブ)のフレームワークを採用し、従来の財務情報を主とした企業パフォーマンス管理に、二酸化炭素排出量や雇用実績など、トリプルボトムラインに関連する指標を取り入れられるようにした。

 なかでもユニークなのが“カーボンモデリング”機能。二酸化炭素の発生源(ソース)を、電気やジェット燃料、天然ガス、バイオ燃料、保冷剤など細かく洗い出し、それぞれを二酸化炭素排出量に換算して設定。購入する部品・資材なども二酸化炭素に換算しておく。そのあと、リソースモジュールを用いて二酸化炭素のソースを認識できる最小単位を定義するとともに、活動モジュールによって二酸化炭素の排出が認められる最小単位の工程として活動基準を定義する。これによって、すべての企業活動を二酸化炭素排出量としてあらわすことが可能になるという。

 しかも、製品や顧客、取引先などの切り口で、二酸化炭素排出量を個別に算定することが可能。環境対策に必要なさまざまな予測的分析を行うことにより、サステナビリティ経営の観点での全体最適を実現することができる。

 当初は、すでに同社のBIソリューションを導入している金融業などを中心にするが、環境を得意とするコンサルティング会社などとの連携を図り、製造業をはじめとするあらゆる業種への浸透を目指していく。