2008年冬CCS特集:科学技術振興機構

化学物質DB相互リンク推進、日化辞Web使い勝手向上

 2008.12.04−独立行政法人・科学技術振興機構(JST)が中心になって推進している「化学物質リンクセンター(プロトタイプ版)」が順調に推移している。インターネットに散在している化学物質関連データベース(DB)の相互連携を図ることで、情報収集作業の効率化を実現するとともに、その機能やコンテンツを補完し合うことで各DBの価値が高まるというメリットが期待されている。

 現在、化学物質リンクセンターにはJSTを含めて5つの機関が参画している。具体的には、JSTの日本化学物質辞書「日化辞Web」、独立行政法人・産業技術総合研究所の有機化合物スペクトルDB「SDBS」、独立行政法人・物質・材料研究機構の高分子DB「PoLyInfo」、神奈川県環境科学センターの化学物質安全情報提供システム「Kis-net」、国立医薬品食品衛生研究所の既存化学物質毒性DB「JECDB」が利用できる。

 日化辞WebとKis-netが他のDBに対するリンク情報を持っており、例えば日化辞Webで化学物質の名称や構造を調べたあと、再検索することなく物性・毒性やスペクトルデータを他のDBから知ることができる。

 今後は、法規関係や官公庁で保有しているDBなどを候補に上げて参画機関をさらに増やす努力を払う。また、DB間の相互リンクを促進するため、効率的なリンク方式の実現にも取り組んでいくという。

 一方、化学物質リンクセンターの中心にもなっている日化辞Webだが、その情報量は年間14万物質のペースで増加しており、現時点で約265万件のデータを収録。最近では、「薬の名称で検索したい」、「用途から物質を調べたい」などの要望に応えて、医薬品や農薬などのハンドブック類に記載された情報の登録に力を入れている。

 今後の予定としては、文字列検索時の漢字かな表記ゆれへの対応、詳細回答画面における英数文字の半角への表示変更など、使い勝手を高めるための改善を行う。