エルゼビアの書誌・引用情報データベースScopusをOECDが採用

科学技術政策策定の基礎情報に、機能・網羅性など評価

 2008.10.22−科学・技術・医学分野の情報サービスプロバイダーであるエルゼビアは、学術ナビゲーションサービス「Scopus」(スコーパス)がOECD(経済協力開発機構)に採用されたと発表した。世界的な研究動向の調査や加盟国の研究活動を定量的に把握することなどにより、科学技術政策の決定などに関連した基盤情報の提供に役立てるという。

 Scopusは、2004年11月から提供されている書誌・引用文献データベースで、研究活動のビジュアル化や追跡・分析が簡単に行えるようにデザインされている。データベースには、4,000以上の出版社の1万5,000誌を超える査読ジャーナルの書誌・引用情報が収録されており、学際的な網羅性も確保。フルテキスト論文への直リンク、利用者サイドのローカルの文献管理プログラムなどとのアプリケーション連携により、強力な文献調査ツールとしての評価を確立している。

 今回の導入に関してOECD側では、著者と所属機関との大規模なリンクなど、統計解析に役立つ機能を備えていること、また中国やブラジルなどのOECD非加盟国のデータも揃っており、世界全体をカバーして科学技術分野の動向を把握できることが大きな理由になったと説明している。

 従来、一国の研究活動を定量的にみるためには、その国のインプットである研究者の人数や研究費といった指標に注目していた。しかし重要なのはアウトプットであり、これからは論文数や引用数なども考慮しなければならないのだという。

 今回のScopusに関しては、加盟各国の政府が主たる利用者となり、科学技術に関する方針や政策を決定するために利用される。そのためには正確な国際比較が重要になるので、OECDの役割のひとつとして、加盟国からデータを集め、相互に比較できるように全体を調整するようなことも行うということだ。