マイクロソフトがファスト社買収で検索ソリューションを強化

企業の戦略的情報活用を支援、両製品の組み合わせで広いニーズに対応

 2008.11.14−マイクロソフトは12日、ノルウェーのファストサーチ&トランスファを今年の4月に買収したことを受けての日本国内での事業体制について記者説明会を開催した。ファスト社はマイクロソフトの1部門となるが、日本法人は引き続きそれぞれの製品およびサービスを提供しつつ、必要に応じて協力体制を取るかたちになる。両社の統合により、企業内の情報検索のニーズに対して、ローエンドからハイエンドまでの包括的なソリューション提供が可能になった。

 マイクロソフトの企業向け検索ソリューションは、「Microsoft Office SharePointServer 2007」(シェアポイントサーバー)が中心となる。単純に文書ファイルを探すということでなく、データベースや業務アプリケーション、人や専門知識までを検索対象にできる仕組みを提供している。

 一方、ファスト社のエンタープライズサーチプラットホーム「FAST ESP」は、“楽天市場”に代表されるコンシューマー向けショッピングサイトの検索エンジンとして高い実績を持つ。強力なクラスタリングとエンティティ抽出機能があり、レコメンデーションエンジンと統合されていることが大きな特徴。例えば、楽天市場では、検索ボックスに何も入力せずに検索ボタンを押すと、約2,600万件の全商品を網羅した分類リストが表示される。ここから分類項目をたどっていくだけで、キーワードを入れることなくほしい商品を絞り込んでいけるが、このように情報の分類まで行ってしまうのがFAST ESPの機能なのだという。

 両社では、企業内の情報検索においても、戦略的な情報活用を志向する方向性が強まる中で、FAST ESPへのニーズが拡大するとみており、まさにふさわしいタイミングで買収が行われたと位置づけている。当面は、別々の製品として販売・サポートされるが、シェアポイントサーバーの次期バージョンではFAST ESPのエンジンを組み込んだソリューションも用意される予定である。(ただし製品統合というレベルではない)

 いずれにしても、両社では、シェアポイントサーバーとFAST ESPを組み合わせた企業向け検索ソリューションとして共同での事業展開を行う。両製品の具体的な連携を必要とする場合には、マイクロソフトのコンサルティング部門がプロジェクトを担当することになる。また、ビジネスパートナーとして、伊藤忠テクノソリューションズ、ウチダスペクトラム、エクサ、NECソフト、NTTデータ、電通国際情報サービス、日本ヒューレット・パッカード、日立情報システムズ、べリングポイントの9社がこのスキームに加わる。