JSOLがパッケージから解析サービス中心へ方針転換

材料設計支援システムJ-OCTA、実際の研究テーマへの応用を支援

 2009.02.09−JSOL(旧日本総研ソリューションズ)は、材料設計支援のための国産パッケージ「J-OCTA」の事業方針を転換し、個別のユーザーニーズに合わせた解析コンサルティングサービスを主力に事業展開していくことにした。これにともない、汎用機能のバージョンアップと新規のパッケージ販売は停止するが、コアとなる先進ユーザーの獲得には成功したと判断。具体的な研究テーマに対して、既存ユーザーがOCTAをうまく活用できるように技術的に支援していく。大学や研究機関などとの共同研究も継続し、得られた成果を発表するなど、今後もOCTAの普及に向けた活動に力を入れる。

 JSOLは、2002年3月まで実施された経済産業省プロジェクト「高機能材料設計プラットフォームの開発」(通称・土井プロジェクト)に参画(当時は日本総合研究所として参加)し、OCTAの開発に貢献。プロジェクト終了後は、OCTAを構成する計算エンジン群を連携させるプラットホームやGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)機能を改良し、2005年3月から商用版としてのJ-OCTAパッケージの販売を開始した。

 OCTAは、材料のミクロ(原子・分子レベルの性質)とマクロ(構造体としての特性)の中間に位置するメソ領域をカバーする解析理論/シミュレーションプログラムをいち早く取り込んだ先進性が特徴。プロジェクトの成果物としてのフリー版OCTAはオープンソースとして公開されているが、商用版のJ-OCTAも使いやすさとサポートを武器に数十社の導入実績を築くに至っている。

 ただ、OCTAのエンジン群は基礎研究的なツールであり、企業などにおける実際の研究テーマに応用するためには、それぞれの必要に合わせてツールを複雑に使いこなす努力が求められる。同社では、当初からパッケージ販売を補完するかたちで、個別にニーズに対応した受託解析/コンサルティングサービスを提供してきており、そちらも高い評価を得ている。今回の新しい事業方針は、J-OCTAの既存ユーザーがシステムを実際の研究プロジェクトで役立てることを全力でサポートし、それを通じてOCTAをはじめとしたシミュレーション技術のさらなる普及を目指すことが狙い。

 フリー版OCTAのエンジン群の開発やバージョンアップは、オープンソースのスタイルでいまも続行されており、新化学発展協会の高分子ワークショップなどを通じた研究会活動も継続中。今後もOCTAの動向には注目する必要があるだろう。