2009年夏CCS特集:菱化システム

ニーズに即した開発で強み、業務アプリ構築で実績拡大

 2009.06.24−菱化システムは、生命科学系から材料科学系までの幅広いラインアップが武器。商社的な販売を行うだけにとどまらず、三菱化学グループのIT事業会社としての業務ノウハウを生かし、研究所向けデータベースアプリケーションの開発でも実績を重ねつつある。海外の新製品の導入にも積極的だが、最近では先方からの売り込みで代理店を務めるケースが増えているという。

 主力の統合型CCS「MOE」(加CCG)は国内に広く浸透してきており、エンドユーザーの裾野が広がって、初めてCCSに触れる実験研究者らを対象にしたトレーニングの需要が高まっている。初心者に使いやすいように画面をカスタマイズしてほしいという要望も多くなっており、順番にボタンを押していくことで、一連の解析手順をガイドする機能を組み込んだり、日本語ヘルプ画面を用意したりするなど、ユーザー個別のニーズにきめ細かく対応している。

 MOEに装備されていない機能は、専用の開発言語“SVL”を利用して自社開発で組み込むことも行っており、そうした成果の一部はSVLプログラム集として無償公開されている。

 7月8日にはユーザー会である「MOEフォーラム」が開催されるが、内外のユーザー事例のほか、フリーのワークフローツールである「KNIME」に対応したインターフェースも紹介する。MOE自体にも一連の処理を自動化するスクリプト機能があるが、ワークフローを可視化して共有したいというニーズにはKNIMEが適しているという。

 一方、統合情報管理システム「CBIS」(米ケムイノベーション)では、分析および検査業務などへの応用を推進しており、無線ICタグ(RFID)に対応し電子天びんと連動させた試薬管理システム、数十台の検査装置を束ねて検体情報を統合管理する免疫検査システムといった構築実績が出てきている。こうした案件では、同社のシステムインテグレーターとしての総合力が生かされている。

 その他のパッケージ製品では、米パーテックのデータマイニングソリューションが好調。アフィメトリックスやイルミナのDNAマイクロアレイに対応しており、大規模データ解析に優れていることから菱化システムでは共同マーケティング体制で事業を進めている。

 また、材料設計支援システム「SciMAPS」(仏サイエノミクス)は昨年末から需要が本格化してきたという。さらに、遷移状態の探索など新機能が追加された「MedeA」(米マテリアルズデザイン)や新製品の「CULGI」(蘭シュルギ)など、材料系製品は強力なラインアップとなっている。

 計算化学では、待望のバージョンアップ「Gaussian09」(米ガウシアン)の登場も今年の大きな話題になりそうだ。