富士通が法規制対応のための化学物質情報管理システム

GHS対応MSDSを自動作成、データベース一元管理

 2009.04.09−富士通は、化学・素材メーカーのレスポンシブル・ケア活動の基本を総合的に支える化学物質情報管理システム「McConcierge」(エムシーコンシェルジュ)を製品化し、9日から販売開始した。化学物質の情報を一元管理するデータベースを基盤に、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)対応のMSDS(化学物質等安全データシート)を自動作成したり、原料や製品に含まれる化学物質を素早く検索したりする機能を持つ。今後の法規制の強化にも柔軟に対応できるシステムとして、向こう3年間に30システムの受注を見込んでいる。

 富士通は、1990年代前半から危険物管理システムの構築やMSDS作成ソフトの開発・パッケージ化などに取り組んできている。ところが、2010年までに完全実施が予定されているGHS対応MSDSでは、化学物質の分類に関するロジックがまったく変わっているため、既存のMSDSソフトの手直しでは対応が不可能。そこで、数年前から個別のSI(システムインテグレーション)案件としていくつかの企業向けにプロジェクトを進めてきた実績を生かし、今回の新パッケージを製品化した。

 とくに、一元管理されている化学物質情報をベースに、GHS対応のMSDSやラベル、イエローカードなどの必要文書を自動的に作成できることが最大の特徴。自動化されているため、常に均一な品質で文書化することができ、塗料や潤滑油、工業用ガス、香料などの混合物のMSDS作成も得意としている。原料から物質までの組成情報を階層的に参照することもできる。

 また、強力な検索機能を備えており、当局や取引先に対して化学品や化学物質に関する正確でスピーディーな情報提供が可能になる。データ管理のための承認ワークフローやチェックシート機能もあり、信頼性の高いデータを蓄積することができるという。

 システムは、データベースを核にモジュール化されており、新しい業務の拡張が容易。生産や販売といった基幹システムとの連携もしやすい。将来的には、PRTR管理やREACH対応などの機能追加も図り、レスポンシブル・ケア活動全体を支援するシステムに発展させていく。

 なお、パッケージとしての販売価格は1,000万円から。導入期間は、平均的なプロジェクトで6ヵ月ほどになるという。