CTCLSが協和発酵キリンに試薬管理・法規制チェックシステム

生物系試薬にも柔軟対応、コンプライアンス推進に寄与

 2010.02.16−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、協和発酵キリンに対して試薬管理と法規制化合物のチェックを行うパッケージソフトを導入した。自社開発した「RAKTIS」(ラクティス)および「RegSys」(レグシス)と呼ばれるシステムで、今年の1月から本格的な運用がスタートしている。化学物質の適正な管理とコンプライアンスの推進を目的としたもの。同社では、今回の実績を機に、システムの継続的な機能強化を図り、広くライフサイエンス企業への提案活動を強化していく。

 法規制の対象となる化合物は多種多様であり、すべての規制法令を正確に判断し、対処するためには多くの労力が必要。多数の自社保有化合物や試薬の管理業務に際してその対応が求められるほか、法令の改正時には2週間〜1ヵ月という短期間で新規指定の化合物について遡及的な対応が不可欠になる。

 今回のシステムは、こうした業務を大幅に効率化するためのもので、協和発酵キリンの研究拠点である富士リサーチパークに設置された。導入期間としては5ヵ月ほどを要したという。

 試薬管理システム「RAKTIS」は、クライアント/サーバー型の旧製品「CoRM/SIMS」に替わる次世代製品で、昨年5月にリリースされたばかり。今回が第1号ユーザーということになる。ウェブベースで使いやすく、ウェブサービスAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)での提供が可能なことから試薬カタログや法規制チェック、試薬購買ほか、他システムとの連携が容易だという特徴を持つ。とくに、化学構造式での判別が難しい複数成分・物質からなる生物系試薬にも柔軟に対応できることが今回の導入の大きな要素になった。

 プラットホームとなるデータベースにオラクル、構造式を扱うケミストリーエンジンにSymyxDirectを採用しており、パッケージ価格は約3,000万円からとなっている。

 一方、法規制化合物チェック支援システム「RegSys」は、構造式に基づいて化学的同一性を自動的に認識し、規制化合物(覚せい剤取締法、麻薬・向精神薬取締法、薬事法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、化学兵器禁止法など)に当たるかどうかの判定を行う。パッケージ価格は400万〜1,000万円。2008年春に製品化して以来、11社への導入実績がある。今回の導入例では、RAKTISと連携しているため、試薬を登録した時点でチェックが働く。

 両システムの連携活用を通して、協和発酵キリンでは、所有試薬の所在管理の徹底、法規制化合物の不法所持の未然防止、法令改正時の迅速な対応など、コンプライアンス遵守への取り組みを一段と強めていくことにしている。