ATIテクノロジーズがハイエンドグラフィックチップ

ゲームキャラクターに命を吹き込み、シネマ演出が可能なRADEON

 2000.06.09−ATIテクノロジーズジャパンは、最新グラフィックプロセッサー「RADEON」(ラディオン)を発表した。最速・最高の機能性を実現したとしており、とくに3次元の座標変換などのジオメトリー処理をグラフィックチップ側で行うことができるため、パソコンのCPU(中央処理装置)との間で最適な負荷分散が図られ、システム全体のパフォーマンスを向上させることができる。RADEONを搭載したグラフィックカードは、7月末には製品化される予定。ゲームおよびワークステーション向けのハイエンドグラフィックスとして発売する。

 新型チップのRADEONは、0.18ミクロンルールでデザインされており、ペンティアムVやアスロンの集積度を超える3,000万トランジスターを搭載している。

 とくに、座標変換や光源計算などを行うジオメトリーエンジン“カリスマエンジン”をハードウエアとして実現。毎秒3,000万トライアングルの座標変換が可能だが、これまではCPUでジオメトリー処理を行っていたため、それから解放することでCPUとグラフィックチップとの最適な負荷分散が図られたという。

 カリスマエンジンによって、ゲームキャラクターに命を吹き込むことが可能になり、たくさんのポリゴンを使ったきめ細かなキャラクターを自由に動かせるだけでなく、人間としての自然な表情の変化や、皮膚や骨格、関節の構造を考慮したリアルな動きを再現することができる。

 例えば、キーフレームアニメーション機能は、アニメーションのキーになる原画を描くだけで、その間をつなぐ動画を自動的に生成する機能で、表情の変化をつくり出すのに向いている。また、4−マトリックス・スキニングは、肩の関節のような複雑な機構の動きを自然な形であらわすことが可能。

 次に、レンダリングエンジンの“ピクセルタペストリー”は、色・光源・陰影といった3つのテクスチャーを同時に重ねるパラレルテクスチャープロセッシング、素材の質感をリアルに表現するバンプマッピングなどの機能を持っている。バンプマッピングでは、これまで難しいとされていた水面や霧の表現も可能。霧は3次元のテクスチャーである。毎秒1.5ギガテクセルのレンダリングを行う性能がある。

 RADEON搭載のグラフィックカードは、AGP×4に対応し、200MHzのDDR(ダブルデータレート)SDRAMを最大128MBまでサポートする。DDRを400MHz相当で動作させるのは業界初だという。