2026年夏CCS特集:総論 計算・データに加えAI活用が焦点に

データ駆動型研究の基盤へ、文科省がAI利用研究促進

 2026.06.23−コンピューターケミストリーシステム(CCS)は、医薬品や機能材料研究を支援するソリューションとして、AI(人工知能)/ML(機械学習)を活用したデータ駆動型研究開発のプラットフォームとなり、研究DX(デジタルトランスフォーメーション)を具体化するソリューションとして広く注目を集めている。とくに、今年度から文部科学省の「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業」(SPReAD)がスタートしたこともあり、CCS関連のハード・ソフトの導入熱が高まっている。

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 CCSは、分子モデリングや計算化学によるシミュレーション、実験データや研究情報を蓄積・管理するインフォマティクス/電子実験ノート、生命情報を解析するバイオインフォマティクス、研究の基礎データなどを提供するデータベースサービス、大量のデータから知識を引き出すAI/MLツールなど、さまざまなソフトウエアが含まれる。また、ハードウエアとしては、科学技術計算/ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のためのクラスターやスーパーコンピューター、将来の実用化が期待される量子コンピューターなども重要な要素となっている。

 とくに近年、データ駆動型の研究手法が注目され、研究DXの方向性が確立される中で、実験や計算で得られたデータを集めて統合管理し、AI/MLで活用するという流れも定着してきた。その情報プラットフォームとして、電子実験ノートへのニーズが急速に拡大し、医薬品だけでなく、化学品・食品・化粧品・消費財などの分野へと利用が広がっている。ここ数年は、カーボンニュートラルの取り組みにともない、非石油系の素材を使用した材料開発も注目されてきたが、今年のナフサ危機を契機にそうした動きに拍車がかかる可能性もある。過去の蓄積や経験の少ない探索空間に挑むには、CCSによるサポートが不可欠であるともいえるだろう。

 また、技術的にみると、これまでの計算やデータの利活用だけにとどまらず、AI/MLの導入が不可欠になってきた。斬新な素材や組み合わせを見つけ出すには、けた外れに巨大な探索空間を探る必要があるためで、これにもいまやAIの助けが欠かせない。とくに、今年度から文部科学省が「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業」を開始したことが注目される。研究に向けたAI活用による高度化・加速化を促進することを目的とした補助金制度で、1課題あたり上限500万円が支給される。しかも、年間約1,000件の課題が採択されるとあって、産官学の研究現場では色めき立つような状況もみられているという。人文・社会科学を含めた全学問分野が対象だが、自然科学系ではCCSのソフトやHPCハードウエアへの新規需要にも結び付くと考えられている。


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