20236年夏CCS特集:シュレーディンガー

計算とAIの融合で新提案、教育現場へも浸透目指す

 2026.06.23−シュレーディンガーは、さまざまな望ましい特性を高い精度で計算することにより、薬剤設計・材料設計の成功率を高め、より早く安く高品質な分子を生み出すというコンセプトのもと、独自のビジネスモデルで実績を高めている。とくに、実験と同等の精度を持つ物理シミュレーションを強みとしているが、最新では生成AI(人工知能)やAIエージェントなどを組み合わせたソリューション展開も強化してきている。

 まず、AIの活用で進展しているのが候補化合物の絞り込みである。現在は数十億から数百億という化合物ライブラリーを探索の対象とすることが多く、すべてをシミュレーションするのは実際的に不可能。ドッキング計算の「Glide」と生成AIで選抜した母集団のライブラリーを学習させ、特定のターゲットに親和性を持つ活性化合物群を大量に生成する。オフターゲットの予測(毒性予測)や合成の容易さ(逆合成解析)などのAIも使用するとともに、有望な候補は結合自由エネルギーを予測する「FEP+」と機械学習の組み合わせによる再スコアリングで絞り込んでいく。最大500億から10万化合物単位への絞り込みを2日間で完了することができるという。

 また、AI活用はデータ不足の解消にも効果がある。実験と同精度の「FEP+」を教師データ生成手段に使うことで、AIの弱点であるデータ不足に対処。実験データがゼロの標的に対しても、物理シミュレーションと組み合わせて受容体構造予測、結合サイト予測、結合様式推定などを行うことができる。

 さらに、同社はAIエージェントを使用した計算化学の民主化にも取り組んでおり、今月に「Bunsen」(バンセン)のベータテスター募集を開始した。これは、いわば専門知識を持ったAIの共同研究者であり、さまざまな質問に答えることができるほか、自然語での指示を理解して実際に計算も行ってくれる。実験化学者が自分のアイデアをすぐに試してみるなどの使い方により、研究を効率化・加速させることが可能だという。

 一方で、同社は教育機関向けのキャンペーンをスタート。「ティーチング・ウィズ・シュレーディンガー」と題し、有機化学や生物情報学、製薬科学などの分野で、すぐに授業で使える教材も用意している。すべてインストールなしのウェブベースで、計算はシュレーディンガーの資源にアクセスして行う。教員向けのトレーニングや利用者間のコミュニティづくりもサポートしていく。


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