アクセルリスとシミックスが6月末に対等合併へ

モデリングと情報化学を網羅した巨大ベンダー誕生、業界再編の口火に

 2010.04.07−米アクセルリスと米シミックス・テクノロジーズが5日、合併することで調印したと発表した。CCS(コンピューターケミストリーシステム)市場のトップベンダー2社が1つになることになる。合併は今年の6月末に完了する予定。新会社の体制や製品戦略などの詳細はまだ明らかになっていない。ここへ来て米国全体でM&Aの動きが再び活発化しているという観測もあり、今後CCS市場でも業界再編が話題を集めそうだ。

 CCS関連のシステムは、計算化学技術を中心に据えたモデリング系と、データベースを活用して化合物のデータ管理や研究業務の効率化を実現する情報化学系に分かれており、ベンダーもすみわけがなされていた。業界では、モデリング系の最大手がアクセルリス、情報化学系の最大手がシミックスということになる。

 アクセルリスは、2000年2月に英シノプシスを買収し、化学データベースソフト「Accord」を製品ラインに加えて情報化学を含めた総合ベンダーへの道を模索したこともあったが、十分な成功にはいたらなかった。ところが、2004年11月に買収した米サイテジックのワークフローツール「Pipeline Pilot」がヒットしたことで、再び情報化学の世界との接点が拡大してきていた。もともと、Pipeline Pilotはシミックスのデータベース管理システム「ISIS」または「Isentris」に格納されたデータを効率良く処理することを目的に普及したソフトで、いまもシミックス製品と親和性が高い。

 両社ともNASDAQに上場している公開企業で、今回の合併は対等合併のスタイルとなる。両社の株式の時価総額は約3億3,500万ドル、さらに無借金で1億5,000万ドルの現金を保有する。シミックスの株主は、1株当たり、0.7802株のアクセルリスの普通株を受け取る。合併後の両社の株主は、それぞれ新会社の50%を所有することになるという。また、アクセルリスのマックス・カルネシア(Max Carnecchia)CEOが、新会社のCEOを引き続き務めるほか、本社もアクセルリス側のサンディエゴに置かれる。

 CCS市場は、2007年の大型再編以後、おおむね平穏に推移してきていたが、今回の最大手ベンダー同士の合併は巨大ベンダーへの対抗の意味を含めて業界のM&Aに火をつける可能性もある。ただ、大手同士が合併して製品や市場を集約化していくことは、ソフトウエアの成熟期によくみられる動きではある。今回のことが、CCS市場が新たな段階に移行することを象徴する里程標になるのかどうか、今後の業界動向が注目される。


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