富士通九州システムズが安全性・薬物動態予測ソフトを機能強化

意思決定の迅速化と信頼性向上、新手法をサポート

 2010.07.28−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物の安全性や体内動態を予測する「ADMEWORKS」を機能強化し、最新バージョン6をこのほど販売開始した。ユーザーの要望を取り入れて新機能を開発したもので、研究における意思決定の迅速化と信頼性向上を達成することが今回のポイントになっているという。価格は予測専用の「ADMEWORKS Predictor」が買い取り250万円、年間ライセンス120万円、モデル構築が可能な「ADMEWORKS ModelBuilder」が同様に500万円と210万円。1年間に50ライセンスの販売を見込んでいる。

 ADMEWORKSは、構造活性相関解析のための統合ソフトで主な用途は医薬品開発だが、近年では化学物質に対する各種法規制の強化、また昨年に欧州で化粧品原料に関する動物実験が禁止され、動物実験代替法への関心が高まっていることなどを背景に、化学メーカーや化粧品メーカーにも普及してきている。

 現在、基本となるLogP、Druglikeness、Leadlikeness、Rule Of Five、topological PSA、Number of H-Bond Donors、Number of H-Bond Acceptors、Rotatable bondsに加え、有償(フルセット買い取り60万円、年間ライセンス28万8,000円)で溶解性モデル、CYP3A4阻害定性モデル、CYP3A4阻害定量(Ki)モデル、CYP3A4代謝定量(Km)モデル、CYP2D6代謝定量(Km)モデル、脳血液関門(BBB)モデル、ヒト腸吸収(HIA)モデル、発癌性モデル、AMES変異原性モデル、PGPトランスポータモデル、皮膚感作性モデル、生分解性モデル、蓄積性(BCF)モデル、hERG阻害モデル−が用意されており、構造式だけで簡単に各種特性を予測することができる。

 予測専用システムの「ADMEWORKS Predictor」は、今回のバージョン6で、予測の信頼性を視覚的に表示できるようになった。例えば、毒性が“ある”か“ない”かといった2クラス判定の場合、同じ“ある”でも信頼性の高さを知りたいというニーズが多かった。そこで、予測に用いたモデル母集団からの距離をもとに信頼度を判定する機能を組み込んだ。信頼性が高いか低いかを色で表示するため、化合物を選り分ける指標の1つとして利用することが可能。

 また、予測値を算出する場合、調べたい構造がモデル母集団の中に存在すれば、予測値ではなく元の実測値を表示することができる。社内のデータをモデル作成に使っていれば、入力構造の予測と社内データベースの検索を同時に行うことになるので、手間が省け効率が向上する。

 さらに、予測結果と予測の根拠となる情報をまとめてレポート出力(PDF形式)する機能も追加された。報告書作成が大幅にスピードアップする。

 一方、モデル作成機能を持つ「ADMEWORKS ModelBuilder」では、非線形のデータに有効なSVR(Support Vector Regression)特徴抽出手法が新しく採用された。非線形データの場合に、他の手法で過剰適合となる不都合を避けることができるという。

 また、モデルウィザード機能を強化し、自動的に複数の手法を用いてモデル作成し、その中からいくつかの評価指標によって最良のモデルを選び出す機能も追加された。ユーザーが独自でモデル作成を行う作業をサポートする機能として要望されていたものだという。


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