富士通が武田薬品工業に電子実験ノート導入

国内最大規模250ライセンス、初の完全電子化で運用開始

 2010.09.02−富士通は1日、国内で最大規模の電子実験ノートブック(ELN)システムを武田薬品工業に導入したことを正式に発表した。国内で初めての完全電子化での導入事例となり、紙の実験ノートは廃止された。今年の3月から4月にかけて段階的に運用を開始したもので、約10%の研究業務効率の改善を期待しているという。

 今回のシステムは、米ケンブリッジソフトのELNパッケージ「E-Notebook Enterprise」をベースに、完全電子化運用に対応する機能などを追加開発したもの。合成研究部門(約250ライセンス)の基盤システムとなるため、24時間365日の無停止運用を前提とした可用性・信頼性に富んだインフラ構築、システムをスムーズに利用するための定着化支援など、設計・開発から運用段階までのトータルサポートでシステム構築を進めた。構築期間は、2008年11月から2010年3月までの17ヵ月間に及んだという。

 従来、研究者が紙の実験ノートに記入していた実験計画や結果は、各自のパソコンから一元的に登録され、膨大なデータがナレッジとして蓄積されることになる。研究者は、構造式やキーワードをもとに関連する情報を検索・参照することで、さまざまな情報を各自の研究に活用することが可能。過去の類似した実験結果を事前に把握することにより、重複実験をなくすなどのコスト削減効果も期待されている。


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