2010年冬CCS特集:菱化システム

医薬から材料分野まで網羅、新製品を続々と投入

 2010.12.02−菱化システムは、CCSの広範な領域を網羅する多彩な製品群を擁しており、国内トップベンダーの一角として長年の実績を築いている。とくに、医薬を中心とするライフサイエンス系に事業を集中させるベンダーが多いなかで、同社は化学・材料系でもユニークなシステムをいくつも市場投入しているのが特徴。製薬業向けでも、研究分野だけでなく、開発や製造分野の業務系システムまで手掛けるなど、事業範囲はますます広がっている。

 同社が提供する製品は多いが、生命科学系では加CCGの「MOE」や独バイオソルヴアイティーの「Flex SIS」、材料科学系では仏サイエノミクスの「SciMAPS」、米マテリアルズデザインの「MedeA」、蘭シュルギの「CULGI」などが代表格。このほかに、計算化学エンジンとして、蘭SCMの「ADF」や米ガウシアンの「Gaussian09」、米セミケムの「AMPAC」、米スチュワートの「MOPAC2009」などがある。

 なかでも、主力製品のMOEは11月末に最新版がリリースされたばかり。合成しやすいフラグメントに自動置換するなど、リガンド分子設計に便利な機能が追加されたほか、欧米で人気の高い分子動力学法プログラムNAMDとのインターフェースが搭載された。KNIMEやPipeline Pilotなどのワークフロープラットホームとの連携もいっそう容易になっているという。

 今年の新製品では、米シンプルソフトの「CIMPL」の評判がいい。化合物ライブラリーを扱って構造活性相関を行うためのソフトで、変わった機能を持つわけではないが、軽さ・使いやすさ・コストパフォーマンスの良さから、展示会などでの注目度が高い。名古屋大学と共同で製品化した結晶構造解析ソフト「Crystal Profiler」も、欧米の製品を上回る機能性から引き合いが活発で、ベンチマークの依頼も非常に多い。

 その他、このほど著名な数学ソフトである「マセマティカ」の販売も開始した。数式を解くだけでなく、ワークフローやプログラミング、統計解析の機能も備えており、分子モデルの表示も可能。現在、Crystal ProfilerのGUIをマセマティカで開発しているという。技術・工学市場への幅広い普及を目指していく。


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