エルゼビアがPharmaPendiumに薬物動態モジュールを追加

FDA/EMEAの承認文書からデータ抽出、比較可能な暴露情報を統合

 2010.10.07−エルゼビア・ジャパンは、医薬品開発データベースサービス「PharmaPendium」(ファーマペンディウム)の新しいコンテンツとして、体内における吸収や代謝などのデータを収録した「薬物動態モジュール」を提供開始した。実際に米食品医薬品局(FDA)などが審査した医薬品の承認文書からデータを抽出していることが特徴。薬物動態研究はもとより、薬事申請、前臨床、安全性薬理などの業務に従事している専門家が行う調査作業を大幅に効率化できる。

 PharmaPendiumは、米国および欧州の承認医薬品4,000種を網羅し、前臨床・臨床・市販後の安全性データを統合したデータベース。情報のソースはFDAおよびEMEAの公開された承認文書だが、専門家によるインデックス化がなされていることが大きな付加価値となっている。FDAの公開情報との比較では、文書の中身がテキスト化されているため全文検索が可能なこと、オプションで承認薬第1号からの全件(1938年以降)をカバーしていることなどが特徴。

 とくに、毒性・副作用情報がインデックス化されているため、薬剤・薬剤クラス、毒性・副作用、実験動物種、ソースのうち、複数の条件を満たすものをピンポイントに検索することが可能。例えば、特定のクラスの薬剤が特定の臓器で毒性を発現させた例などを簡単に洗い出すことができる。前臨床・臨床・市販後とステージごとにデータが関連しているので、市販後の有害事象が動物実験の際にどうだったのか、また逆に動物実験での毒性が臨床段階でどのように評価されたのかなどを知ることで、新薬開発における重要な意思決定の判断材料とすることもできるという。

 さて、今回の新しい薬物動態モジュールは、PharmaPendiumユーザーからの高い要望に基づいて製品化したもの。約2,100種の医薬品承認文書から薬剤名、動物種、病態、食物効果、併用薬、投薬ルート、暴露パラメーターをインデックス化している。データ件数はトータル約100万件で、数値データからでも絞り込みが可能であり、薬物動態データをすばやく検索・比較・分析できるツールとなっている。収録される薬剤数は、順次増やしていく。

 用途としては、新薬のための治療濃度域のモデル化、開発候補の決定や優先順位付けなどのプロジェクト評価、特定の薬剤クラスにおける競合機会の探索−などに利用することが可能。学術論文から同様の情報を抽出したデータベースはほかにもあるが、実際の承認文書をソースとするものは業界ではこの製品だけだという。

 なお、薬物動態モジュールの利用に当たっては、PharmaPendium本体との契約が必要。そのうえで、年間購読形式、あるいはデータ買い取りによって同モジュールを使うことができる。


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