インフォコムが国内初のKNIMEセミナー&ワークショップ開催

ライフサイエンス研究のワークフロー基盤、情報共有・再利用を促進

 2010.10.28−インフォコムは、10月18日から19日にかけて、都内で国内初となる「KNIMEセミナー&ワークショップ」を開催した。スイスに本社を置くナイム・ドットコム社(マイケル・バーソルドCEO)が開発しているワークフロー型プラットホーム製品「KNIME」について、初級コースに相当するハンズオントレーニングが行われたほか、今後のロードマップなどについても紹介された。研究開発の基盤となる知識の蓄積と再利用に最適な環境を提供できるほか、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野にも応用できることなどが強調された。

 KNIMEは、独コンスタンツ大学で開発されたワークフローツールで、2004年からプロジェクトがスタートし、2006年にバージョン1がリリースされた。同年に大学をスピンオフして開発が続けられたが、2008年に拠点をスイスのチューリッヒに移している。2009年に最初のエンタープライズバージョンがリリースされ、現在はデスクトップ上でパーソナルに使用できる無償版と、サーバー環境で多くのユーザーが共用できる有償のエンタープライズ版に分かれている。ともに、オープンソーススタイルで開発されていることが大きな特徴になる。

 このため、多くの外部ベンダーから支持を集めており、シュレーディンガー、トライポス、ケムアクソン、CDK、モレキュラーディスカバリー、Trewerenコンサルタンツ、ティブコ/スポットファイアー、ケンブリッジソフト、バイオソルヴIT、CCG−などが自社のプログラムをKNIMEのワークフローに組み込むためのノード集(エクステンションズと呼ばれる)を提供している。各社のノードを混在させて、1つのワークフローを構築することも可能。

 インフォコムはナイム社の公式パートナーで、2008年から無償版のサポートサービス、ノード開発やワークフロー構築の受託などを開始。今年からはエンタープライズ版の国内販売も行っている。また、自社でもKNIMEノード集を「JChem Extensions」として開発・販売しているほか、販売権を持っているシュレーディンガー社のノード集も提供中。とくに、「JChem Extensions」は2008年発売当初は26個のノードを提供しているだけだったが、現在は70個にまで拡大している。

 さて、現在のKNIMEの最新バージョンは7月にリリースした2.2.0となる。世界に5,500人のアクティブユーザーがいるが、その半数がライフサイエンス系の用途で利用している。日本のインフォコムのほか、イタリア、中国、ブラジル、米国に代理店があるという。

 KNIMEエンタープライズ版は、企業内のワークフローのプラットホームとなることにより、さまざまな知識の蓄積や共有・再利用を促進することが可能。具体的な製品としては、ワークフローの共有と実行、ユーザークラスやアクセス権の管理、スケジューリング、ウェブアクセスなどの機能を備えた「KNIME Enterprise Server」、レポーティングのためのワークフローやテンプレートを共有する「KNIME Report Server」、ジョブ分割によって大量処理を行う「KNIME Cluster Execution」がある。「KNIME Enterprise Server」には、ユーザー管理とスケジューリング機能を割愛した簡易版「KNIME Server Lite」も用意されている。いずれにしても、有償版はサーバー製品だけで、クライアントには無償版を利用するかたちになる。

 「KNIME Cluster Execution」は、Sun Grid Engine(SGE)を採用しており、PCクラスター環境に対してノードでの処理やサブワークフローの実行を分散させることが可能。計算負荷の大きいHPC領域での利用に適しているという。


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