2011年夏CCS特集:科学技術振興機構

化合物DBさらに機能強化、利用者ニーズを反映へ

 2011.06.23−独立行政法人科学技術振興機構(JST)は、約290万件(約741万名称)の有機低分子化合物について化学構造を含む各種情報を収録したオンライン検索サービス「日化辞Web」(http://nikkajiweb.jst.go.jp/)を無料公開している。

 日化辞Webは、JSTが作成・提供する「JSTPlus」(科学技術文献ファイル)や「JMEDPlus」(国内医学文献ファイル)から新たに登録された物質、化審法や安衛法に基づいて公示された物質などを収録している。年間約12万件のペースで新しいデータを増やしており、来年初めには300万件を超える見通しだ。

 昨年11月に実施された機能強化では、文献検索サービス「JDream II」で検索するためのアップロードファイルを作成する機能が追加された。この機能は、日化辞Webの検索結果の集合のうち、1回に100物質までの日化辞番号と化学物質名を検索式として保存できる。これは利用者からの強い要望で実現したもので、この機能により、化学物質から文献の検索がより的確に、網羅的に行えるようになった。

 また、日化辞Webの化学物質情報詳細画面から、日化辞番号と化学物質名称で科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL」を直接検索できるようになった。これにより、その物質に関する研究者、文献、特許などの情報を確認することができ、新たな知見を広げることが可能となる。

 一方、日化辞Webを含む5つのデータベースの相互連携を目的としているのが「化学物質リンクセンター」。日化辞Webのほか、独立行政法人産業技術総合研究所、独立行政法人物質・材料研究機構、神奈川県環境科学センター、国立医薬品食品衛生研究所のデータベースにリンクを張り巡らせたもので、再検索することなしに安全性・毒性、スペクトルなどの物質情報を収集することができる。

 このように、日化辞Webは利用者の要望を取り入れるなどして着々と機能強化を進めている。今年度には利用者アンケートを実施することにより、利用状況、満足度、ニーズなどを詳細に把握して、さらなる充実につなげたいとしている。


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