富士通九州システムズが薬物相互作用予測ソフトを海外展開

米国で初のセミナー開催、予測モデル追加など機能強化も

 2011.06.16−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用予測ソフト「DDI Simulator」(DDIシミュレーター)の本格的な海外市場展開を目指し、米国で初のセミナーを開催した。米国シアトルで開かれた国際薬物相互作用学会(DDI-2011)に併設して、レッドライオンホテルを会場に6日夜に実施した。同社では、海外でのプロモーションを積極的に行う計画で、10月16日から米国アトランタで行われる国際薬物動態学会(ISSX)にも参加する方針を固めている。

 今回のシアトルでのセミナーには、製薬会社の研究者を中心に40名あまりが集まり、和やかな雰囲気ながら専門的な議論・意見交換が活発に行われたという。当日は、システムの監修者である東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授による講演に続き、実際のデモンストレーションを通してシステムの機能が披露された。

 DDIシミュレーター自体は、NPO法人であるHAB研究機構の薬物相互作用データベースの開発成果をもとに、機能を追加しユーザーインターフェースを充実させてパッケージ化した製品。体内動態パラメーターに基づき、基質薬物の挙動を示す生理学的モデルを用いたシミュレーションを実施し、複数の薬物を併用した際の相互作用の度合いを予測、薬効や副作用の変動を考察することができる。

 薬物間相互作用は、安全性への影響が大きいとして近年米国で注目されており、新薬の開発過程において阻害薬と被相互作用薬の両面で自社の化合物を評価することや、既存の医薬品との併用における相互作用を見積もることが重要になっているという。

 このDDIシミュレーターに関しては、今年2月に国内でもセミナー&体験実習会を開催している。その際のアンケートで、現在の生理学的薬物動態(PBPK)モデルと競合阻害(MBI)モデルに加えて、新しい予測モデルとしてトランスポーター阻害モデルの追加に対する要望が非常に強かった。このため、今回のシアトルでのセミナーでは、トランスポーター阻害モデルに対応したバージョン2.0を年内にリリースする計画が正式に示されている。

 なお、DDIシミュレーターの海外での販売は、同社の子会社であるFQSポーランドが担当しているが、米国内に新たに販売代理店を設ける方向でも検討が進んでいるようだ。


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