パトコアが化学物質の法規制チェックシステムを相次ぎ導入

第一三共と田辺三菱製薬から、サイトライセンス契約で全研究員が使用へ

 2011.04.12−創薬支援システムの専門ベンダー、パトコア(本社・東京都江東区、藤木雅己CEO)は、化学物質の法規制チェックシステム「CRAISチェッカー」(商品名)を第一三共と田辺三菱製薬に対して相次ぎ導入した。これは、研究所で合成したあるいは保管している化合物が麻薬・向精神薬や毒物・劇物などの法規制物質に当たるかどうかを構造式で判定するシステム。両社ともサイトライセンス契約での導入であり、すべての研究者がシステムを自由に活用できる。

 製薬研究では多種類の化学物質を取り扱う必要があるため、社内に存在する化学物質が規制に該当しているかどうかを確認するための作業に多大な労力と時間を要していた。また、法規制物質は年々増加する傾向にあることから、規制にタイムリーに対応し、もれなくチェックするためのシステム的なアプローチに注目が集まっている。

 CRAIS(クレイス)チェッカーは、こうしたニーズに対応して同社が自社開発したパッケージソフトで、最新のバージョン2.1が3月にリリースされたばかり。

 最新版では、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、薬事法(指定薬物、毒薬、放射性医薬品、習慣性医薬品)、毒物及び劇物取締法(特定毒物、毒物、劇物)、労働安全衛生法(製造等が禁止される有害物など)、輸出貿易管理令、農薬取締法(販売禁止農薬)、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)、消防法(危険物第一類、危険物第五類)、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、悪臭防止法、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書、米国 Controlled Substance Act−に対応している。

 いつだれがどの構造式をチェックしたか、その判定結果を含めて履歴として保存することができるほか、SOA(サービス指向アーキテクチャー)を採用したことにより、電子実験ノートブックや試薬管理システムなど外部システムとのシームレスな連携が可能。

 今回、第一三共では品川研究開発センターや葛西研究開発センター、田辺三菱製薬では戸田事業所・横浜事業所・加島事業所において、すべての研究員が日常的な業務の中でシステムを使用していくことになる。

 なお、同社では麻薬の判定システムを無償公開しており、以下のURL(http://crais.jp/)で試すことができる。


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