シマンテックがネット犯罪の被害額を試算

年間3,880億ドル/毎日100万人が被害、セキュリティソフト導入が第1歩

 2011.09.15−シマンテックは13日、個人向けセキュリティ製品の2012年版「ノートン2012」の発売とともに、同社が実施したネット犯罪に関する調査結果を発表した。それによると、直接の被害額1,140億ドルに加え、被害からの回復に要した時間的損失を加味すると、トータルで昨年の被害総額は3,880億ドルに達した。また、インターネットユーザーの65%が過去1年以内に何らかのネット被害にあったと回答している。日本だけを取り出すと、直接の被害額は22億ドル、同様に総計101億ドルに相当する被害が出ていることが明らかになった。

 今回の調査は、24ヵ国のネットユーザーをカバーしたもので、大人が1万2,704人、子供4,553人、教師2,379人を対象に調べた。

 このデータを基にすると、世界で毎日100万人がネット被害にあうことになるという。人口比で1時間当たりに直すと、世界では5万人、日本では1,300人が被害にあっている。とくに、ネットの利用率が高く、アダルトやギャンブル系コンテンツへの関心も高い傾向にある男性の方が女性よりも被害にあいやすい(男性の47%がネット被害を経験、女性は30%)。また、ミレニアム世代(18〜34歳)が被害にあう可能性が高いという結果も出た。さらに、国別のネット被害経験者の割合では、中国85%、インド80%、シンガポール80%、ブラジル80%、メキシコ83%、南アフリカ84%と、新興国ほど高かった。

 被害額の試算では、金銭的被害や解決に要した費用など直接の被害額が1,140億ドル、被害者が失った時間的損失が2,740億ドルで、トータルは3,880億ドルにのぼった。これは違法薬物取引総額の4,110億ドルに近い水準であり、ネット犯罪の蔓延がきわめて深刻な状態にあることがはっきりした。ただ、ネット犯罪者の多くは国を越えて活動しており、追跡や摘発は非常に難しいということだ。

 今回の調査結果から、日本人のネットユーザーの実態について、同社コンシューマー部門の執行役員ロジャー・ヨーダー氏は、「成人ユーザーの88%がネット犯罪の危険を感じるという神経質な面がある(フランスは50%、イタリアは64%)一方、セキュリティソフトをアップデートしていない人が45%もいるという矛盾が目立つ。携帯電話からインターネットを利用する人が56%と、世界平均(44%)よりも多いので、今後はモバイル環境へのセキュリティ対策が重要になる」と述べた。

 ネット犯罪で検察官を務めた経験もある同社サイバーセキュリティ部門のリードアドバイザー、アダム・パーマー氏は「上位に来るネット被害のほとんどはセキュリティソフトを利用することで防止できる。ネットワークの攻撃は複雑化しているが、それでも無防備な人は襲うのが簡単なのでやはり狙われやすい。地下鉄の中でポケットから財布が飛び出ている人がスリの被害にあうのと同じことだ。まずはセキュリティソフトをインストールして最新の状態に保つことが第一歩だ」と強調した。

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 新バージョンの「ノートン2012」は、ひとりの人が複数のデバイスをさまざまな場所で使用する時代に合わせ、ユーザーがどこにいてもネットワークの保護を提供する“Norton Everywhere 構想”をさらに強化して実装した製品。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末(アップル製品およびアンドロイド)にも順次対応していく。

 最新版の新機能としては、家族のPCを起動しなくてもそのセキュリティ状態を確認できるクラウドサービス「ノートンマネジメント」、IDとパスワードをクラウド上に保管しておくことでどのパソコンからでも即ログインできる「ノートンIDセーフインザクラウド」などがあげられる。

 また、ユーザーインターフェースを簡素化しているほか、ネットワークの回線速度によって更新のポリシーを切り替える(ネットワークアダプターごとに設定)ことも可能になった。低速回線時には重要な更新のみに限定するなどの設定が行える。

 基本機能としては、ネットワーク監視、定義ファイルベースの保護、評価ベースによる保護、振る舞い検知による保護−の4層での保護が特徴で、とくにパイオニアである振る舞い検知技術“SONAR”は第4世代に強化されている。

 製品パッケージは「ノートンインターネットセキュリティ2012」(推定小売価格6,480円)と「ノートンアンチウイルス2012」(同4,980円)に分かれており、3台までのパソコンに使用できる。また、5台、10台分のライセンスを含んだオフィスパックも提供される。


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