2011冬CCS特集:ウェイブファンクション

教育用途での活用を促進へ、データベースの拡充も

 2011.12.07−ウェイブファンクションは、完全64ビット対応を実現した最新分子モデリングソフト「Spartan'10」を提供中で、各ユーザーにおける旧バージョンからの移行も順調に進んでいる。メモリーの制約がなくなって、大規模計算に対応できることが特徴となっており、マルチコア環境を利用した並列処理も得意としている。

 Spartan'10は、大学や高専などでの教育用途から企業での研究用途まで幅広く活用できるが、とくに教育用途に関しては「Spartanを用いた計算化学実験」と題したワークショップ活動を長年にわたって推進しており、開発者である同社のヒーリー社長自らがカリフォルニア大学名誉教授としての経験を活かして講義を担当。好評を博している。

 現在、各大学などへ出向いてのオンサイトワークショップ開催にも力を入れているが、ソフトの機能をユーザーがさらに活用できるように、今後はワークショップの内容にも工夫を凝らしていきたいという。

 国内の事業体制としては、和光純薬の試薬事業と連携しており、ワークショップやセミナーの開催でも協力を得ている。また、それに加え、同社の試薬データをSpartanのデータベースに組み込むプロジェクトも進行中。これは、単なる試薬カタログではなく、実際に構造を発生させ、Spartanで物性計算をした結果を収録したデータベースになる。

 最近では、ウェイブファンクション自身も、量子化学計算結果を収めたデータベースの拡充に力を入れており、製品としても構造関係の情報を収録した「SMD」や、IRやNMRスペクトルデータの計算値を登録した「SSPD」などが提供されている。これに、和光純薬の試薬データが加われば、さらに有用性が高まることになる。

 このほか、米国ではSpartanのiPad版も開発しており、製品化を期待する声も高まっているという。


ニュースファイルのトップに戻る