富士通が製造業のグローバルオペレーションを支援

グローバルな生産・販売を最適化、新ソリューション第1弾

 2012.02.23−富士通は22日、海外の複数の生産拠点を活用し、グローバルな市場動向に合わせた最適な生産・販売活動を迅速な意思決定のもとに実行するための新ソリューション「GLOVIA ENTERPRISE」(グロービア・エンタープライズ)を開発し、8月から提供開始すると発表した。拠点ごとにすでに導入しているシステムはそのままに、必要な情報だけを一元的に吸い上げて全体を見える化することにより、本社サイドでのグローバルオペレーションを強力に支援する。中国・アジアを中心にグローバルなサプライチェーンを構築している製造業に的を絞り、今後3年間で150億円の売り上げを見込んでいる。

 今回の新ソリューションは、製造業の準大手クラスの企業を対象にしたもの。これらの企業は、生産拠点の海外展開やアジアでのM&Aなどグローバルシフトが進んでいるが、「拠点ごとに異なるシステムが導入されているため品目コードなどが不統一で、分析・統制ができない」、「拠点を横断した需給計画変更が複雑化し、タイムリーな見直しができない」、「拠点の活動状況の把握が遅れ、経営判断が遅れがちになる」−といった問題を抱えているという。

 「GLOVIA ENTERPRISE」は、ローカル品番を変更することなく全社マスターを統一する「グローバルマスター」、見える化とアラーム情報で判断を支援する「グローバルモニタリング」、月次サイクルで計画と実需の差異の把握と需給調整を行う「グローバルPSI」(グローバルプランニング)−の3つの製品群で構成される。

 最大の特徴は、ERPや生産管理などの既存システムを入れ替えたりするコストをかけず、経営的な視点でグローバルに分散した情報を集約・分析し、迅速な経営判断を強力に支援できるという点。基幹のERPシステムを補完して、グローバルオペレーションを最適化するソリューションだと位置づけているという。

 具体的には、グローバルマスターは取引先や組織情報、分析軸をはじめ、ローカル品番をグローバル統一品番に関連付けるなど、グローバルに管理すべき情報を本社サイドで一元的に把握できるようにする。国をまたがった多段階の製品構成をあらわすグローバルBOM(部品表)の管理も行う。

 グローバルモニタリングは、統一したマスターをもとに各拠点から収集したデータを見える化する機能を持つ。業績指標や在庫回転率などのKPI(キーパフォーマンスインジケーター)、さらにKPIで設定された基準値を逸脱した場合のアラーム情報−という2つの視点で情報を提供する。

 グローバルPSIは、ERPなどで管理する事業計画をモニタリングで得た情報と照合することにより、販売の予実や生産状況を月次サイクルで見える化するもの。需要変動への対応、需給精度の向上、販売機会損失の最小化、グローバルでの在庫削減などを達成することが可能。とくに、グローバルなサプライチェーンを表現したグローバルBOMに対応しているため、拠点ごとにBOMデータが分断されることなく、需給計画変更の柔軟な対応やキーパーツ計画の最適化を実現できる。例えば、中国での組み立てに変動があった場合、関連部品を生産する胎の向上に対して即座に生産調整の指示を出すことが可能。

 同社では、今回の「GLOVIA ENTERPRISE」は第1弾であると位置づけており、将来的には販売管理や生産管理、原価管理などの業務アプリケーションを開発し、統合ソリューションとして大きく発展させたいとしている。

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<関連リンク>:

富士通(GLOVIA ENTERPRISE 製品サイト)
http://jp.fujitsu.com/solutions/industry/glovia_enterprise/

富士通(製造業向けソリューション総合サイト)
http://jp.fujitsu.com/solutions/industry/


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