富士通が「SCIGRESS」の最新バージョン2.4をリリース

ドッキングシミュレーション機能を復活、実用性が大幅に向上

 2012.06.11−富士通は、材料設計支援システム「SCIGRESS」の最新バージョン2.4を5月末から出荷開始した。旧製品の「BioMedCAChe」に搭載されていたドッキングシミュレーション機能を復活させたこと、分子動力学計算エンジンに新たに拡張Tersoff可変電荷ポテンシャルが追加されたことなどが特徴。今年はサービス面の強化も目標にしており、クラウド経由での計算サービスを開始するほか、計算受託サービスやコンサルティングサービスも積極的に提案していく。

 SCIGRESSは、エネルギー・環境関連のニーズを背景にした新材料開発で多用されるモデリングシステム。多種類の計算エンジンが組み込めるプラットホーム型のシステムで、自社開発の半経験的分子軌道法および分子動力学法のエンジンを持つほか、外部プログラムとしてMOPAC2007、PHASE、ADF、CONFLEXに対応している。材料科学分野向けに色づけされているが、旧CACheファミリーの系譜を継いでいるため、生命科学分野での利用も可能。実際にCACheから引き続き使用しているユーザーも多いようで、最近になって旧CACheの機能が復活することも増えている。

 今回の新バージョン2.4で搭載されたドッキングシミュレーション機能も同じで、たん白質の活性部位とリガンドとのドッキング解析が可能。「FastDock」と呼ばれていた計算エンジンが採用されているが、機能や精度は以前のままとなっている。

 また、バージョン2.3で復活した密度汎関数法エンジン「DGauss」の設定条件がカスタマイズできるようになったほか、表形式で物性計算などを行う化学スプレッドシート機能も改善され、実用性が大きく向上したという。

 さらに、ハードウエア環境としてLinuxクラスター構成に対応、大規模なシミュレーションにも強くなった。自社製クラスターマシンである「PRIMERGY」と組み合わせた提案にも力を入れる。

 一方、今回のバージョン2.4での新機能の目玉は、分子動力学計算での拡張Tersoff可変電荷ポテンシャルの追加だが、これは実装が若干遅れており、実際には修正リリースの2.4.1での搭載となる。シリコン、ゲルマニウム、酸素、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、タンタル、イットリウムのポテンシャルに対応。異種材料界面での挙動のシミュレーションが精密に行える。

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<関連リンク>:

富士通(SCIGRESS製品情報ページ)
http://jp.fujitsu.com/solutions/hpc/app/scigress/

富士通(テクニカルコンピューティングのトップページ)
http://jp.fujitsu.com/solutions/hpc/


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