エルゼビア・ジャパンが旧アリアドネのパスウェイ解析ツール

自然言語処理テキストマイニング技術を統合、トレーニングコース提供も

 2012.08.18−エルゼビア・ジャパンは、昨年12月にオランダ本社が吸収合併した米アリアドネゲノミクスの「Pathway Studio」の国内での販売・サポートを8月から開始した。これは、たん白質間相互作用や遺伝子発現制御、GPCR(Gたん白質共役受容体)、転写因子、代謝経路などを収集したデータベースと、自然言語処理アルゴリズムに基づくテキストマイニングツールを統合したパスウェイ解析ツール。創薬ターゲット候補探索、トキシコゲノミクス解析、次世代シーケンサーからのゲノミクス解析、バイオマーカー探索などに活用できる。同社では、ハンズオン型のトレーニングコースの提供など、代理店時代とは異なるサービス体制を敷き、さらなる普及を目指すことにしている。

 旧アリアドネ製品は、2003年からいくつかの代理店を経由して国内で販売されてきていたが、この8月からはエルゼビア・ジャパンに販売・サポートが一本化された。

 パスウェイ解析ツールは、遺伝子と遺伝子、遺伝子とたん白質、たん白質とたん白質、またはそれらと薬剤または疾病との関係性などの情報を相互に関連づけて抽出し、検索・解析ができるようにした製品で、情報の取り出し方が人手によるものと機械式との2種類に分かれる。

 「Pathway Studio」は機械式の代表という位置づけ。市場では、人手(マニュアルキュレーション)で情報を整理した製品がどちらかというと主流だが、情報の信頼性には優れているものの、網羅性や速報性は機械式に劣る。今回同社では、マニュアルキュレーション型の製品を補完するかたちで併用することをすすめたいとしている。

 とくに、テキストマイニングツール「MedScan」を搭載していることが最大の特徴。このソフト単独で利用することができ、例えばエルゼビアの電子ジャーナル「SciVerse ScienceDirect」で読んでいる文献を直接解析して、分子間相互作用情報を抽出することが可能。文献全部を読まなくても、まずスキャンして関心のある情報を含む文献かどうかを確かめることにより、時間を有効に用いることができるという。

 また、専門的な分子間相互作用だけに限らず、マクロな現象との関係などの情報もキーワードで取り出せるので、幅広い研究者にわかりやすいかたちで知識が獲得できるという利点もあるようだ。

 「Pathway Studio」のパスウェイデータベースである「ResNet」は年4回更新されるが、このMedScanを用いてPubMedの全アブストラクトをスキャンして収集した情報が登録されている。さらに、マニュアルキュレーションによる360種類以上のカノニカルパスウェイも収録済み。

 加えて、強力なデータ解析・データ管理機能を備えているため、各種分析装置のデータをインポートして、マイクロアレイをはじめとしたオミクスデータからのオントロジー解析・パスウェイ構築に利用したり、公的データとユーザー自身のデータを統合管理したりすることが可能。パスウェイ図はHTMLやエクセル形式で出力できるため、情報共有もしやすい。

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<関連リンク>:

エルゼビア・ジャパン(トップページ)
http://japan.elsevier.com/

エルゼビア・ジャパン(Pathway Studio 製品紹介ページ)
http://japan.elsevier.com/products/ps/index.html


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