富士通九州システムズが「ADMEWORKS」バージョン7を開発

予測精度を高めるカクテルモデル搭載、金属原子を含むモデル構築も

 2012.07.27−富士通九州システムズ(FJQS)は26日、化学物質や薬物の安全性や物性を予測する「ADMEWORKS」を機能強化し、最新バージョン7を8月1日に発売すると発表した。予測したい対象に最適なモデルを適用して精度を高めるカクテルモデル機能を搭載したほか、この新機能を利用して作成したAMES変異原性予測モデルも提供する。パッケージの構成は、ユーザーが自分でモデル作成を行える「ADMEWORKSモデルビルダー」と、あらかじめ用意されたモデルを用いて予測を行う「ADMEWORKSプレディクター」に分かれており、価格は前者が永久ライセンス300万円、年間ライセンス120万円。後者は同様に100万円と40万円。

 「ADMEWORKSプレディクター」には、LogPやルールオブファイブなどの8種類の無償予測モデルと、15種類の有償予測モデルが用意されており、導入してすぐに使用することが可能。吸収や代謝を示すモデルのほか、毒性の関連では発がん性、AMES試験、hERG阻害、染色体異常、皮膚感作性のモデルを使用することができる。

 こうしたQSAR(定量的構造活性相関)手法で構築したモデルを使用する場合、予測したい化合物がモデル構築に使われた化合物群と類縁関係にある場合は精度が非常に高くなるが、化合物の系統がずれると精度が低下するという問題があった。そのため、製薬企業などでは、自社の化合物ライブラリーで予測モデルをつくりなおす(ADMEWORKSモデルビルダーなどを利用)ケースも多い。

 今回の新機能であるカクテルモデルは、入力した化合物を構造上の特徴で分類したり、予測したい物性の種類や条件を指定したりすることで、それぞれに適合した最適なモデルを自動的に組み合わせてくれるというもの。予測のフローチャートを描くイメージで条件指定ができるため、使いやすく、予測精度も格段に向上するという。

 同社では、AMES変異原性を予測するための2,000件のトレーニング化合物を母集団として選び出し、それらをカテゴリー分類したうえで、カテゴリーごとの予測モデルを作成。カクテルモデルに対応した新しいAMES変異原性モデルを確立させた。従来モデルと比較して、予測精度は90%から96%へと上昇。とくに陽性化合物の予測精度は、従来の33%から100%へと改善された。

 AMES変異原性の予測は、ICH(日米欧医薬品規制調和国際会議)のM7としてのガイダンスの関係で注目されているもの。医薬品に含まれる遺伝毒性不純物(変異原性を持つ不純物)への対応について、QSAR手法を利用した適用が検討されているという。

 一方、「ADMEWORKSモデルビルダー」の機能強化は、金属を含む全原子への対応がメイン。すべての元素に対応可能な16種類のディスクリプターを追加したもので、幅広い分野への対応が可能になった。最近では、医薬でも金属原子を含む化合物が多くなっているということだ。

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<関連リンク>:

富士通九州システムズ(ライフサイエンス分野のトップページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/

富士通九州システムズ(ADMEWORKS製品紹介ページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/admeworks/


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