米CASがユーザー会で「SciFinder」の開発ロードマップ

年内さらに2回のリリース、反応グルーピングなど新機能搭載

 2012.07.31−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と化学情報協会(JAICI)は、7月24日に東京、25日に大阪で「SciFinderユーザーミーティング」を開催した。両会場で150人ほどの参加登録があり、国内ユーザーから合わせて4件の事例発表が行われた。CASからは、今年の後半以降に予定されている開発計画などが紹介された。

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 CASは、米国化学会(ACS)の一部門として、185の国や地域出身の400人以上の科学者(300人がPh.D取得者)を抱える組織。100年以上にわたって、世界一の網羅性を誇る化学コンテンツを蓄積してきている。

 「SciFinder」は1995年に開発されたオンラインサービスで、2002年以降は主に反応情報を検索・活用するための機能を重点強化してきた。とくに、2007年にウェブ版を提供開始したが、2009年に開発プロセスをウォーターフォール型からアジャイル型に変更。各種機能を逐次的に開発するスタイルから、開発サイクルを短縮し、顧客からのフィードバックを連続的に取り入れるスタイルに変えたことで、新機能のリリースペースが早まったという。今年もすでに2回のリリースが行われているが、年内にはさらに2回のリリース予定がある。

 現在の開発の優先事項は、(1)コンテンツ面でのリーダーシップの維持(2)使いやすさの追求(3)さらなるワークフローの統合(4)利用者のニーズに合った新しい機能の追加−の4点。

 とくに注目されるのは、反応検索の使い勝手を改善するためのグルーピング機能で、今年の第3四半期のリリース予定となっている。データベース内の一段階反応をあらかじめ600種の反応グループに定義しており、検索結果の回答数が多かった場合でも、全体をすばやく俯瞰することにより、重要な情報をみつけやすくなる。

 また、コンテンツの充実では、文献の要旨に文字だけでなく18万6,000点の図表を加えてわかりやすくしたが(昨年11月リリースでの新機能)、新たに今年の第4四半期には米・欧・日、WIPOの特許情報のフロントページの図表も表示されるようになる。

 さらに、ワークフローの統合では、「SciFinder」と電子実験ノートブック(ELN)との連携を検討中だ。ELNの使用中に「SciFinder」を検索し、検索結果をノートの記述に反映させるなどの利用法が想定されている。詳細は不明だが、いくつかのELNベンダーとの間で話が進んでいるようだ。

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<関連リンク>:

米CAS(トップページ)
http://www.cas.org/

米CAS(SciFinder製品紹介ページ)
http://cas.org/products/scifindr/index.html

化学情報協会(トップページ)
http://www.jaici.or.jp/


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