京都コンステラが新発想の創薬支援システム

PSO法で広大なケミカルスペース探索、来年4月にパッケージ化

 2013.10.30−京都コンステラ・テクノロジーズは、新しい発想の創薬支援システムを開発、「CzeekD」の商品名で来年4月にパッケージソフトとして販売開始する。従来のバーチャルスクリーニングとはケタ違いの広大な化合物空間(ケミカルスペース)を探索対象とすることができる“de novo”(デノボ)的発想のシステムで、計算化学者向けではなく、一般的な薬化学者の創薬に向けての思考を助けるシステムとして製品化する。

 通常のスクリーニングでは、多い場合で数百万件の化合物ライブラリーから有望な化合物を絞り込んでいくが、化学構造のバリエーション自体は10の60乗以上の数があるといわれているという。この広大な空間を漏らさず探索しようというのが、「CzeekD」の最終的な目標となる。

 実際には、フラグメントベースのドラッグデザインを志向しており、骨格構造の部分部分をRグループとしてのフラグメントライブラリーで置換し、たくさんの構造を発生させる。フラグメントは、RECAP(Retrosynthetic Combinatorial Analysis Procedure)などの化学反応に基づいた結合ルールに従わせることで、合成のしやすさも考慮したものとなっている。

 また、薬物として有望な構造を絞り込むためには群知能最適化アルゴリズム(PSO法)を採用。中心骨格に対し、Rグループから任意のフラグメントを当てはめて構造を生成し、活性スコアを計算して上位のものを選び出す。その高スコア化合物の構造的特徴を保持しながら、さらに次の候補群を生成し、活性スコア計算を再度行う。このように多段階的に5千から1万回繰り返すことで、最後には活性に起因する構造的特徴に富んだ候補化合物群を得ることができるという。

 スコアリングには、同社独自の相互作用マシンラーニング法(CGBVS)を組み込んだスクリーニングソフト「CzeekS」を使用する。予測モデルをカスタマイズすることも容易なので、自社のターゲットにマッチした絞り込みが可能。

 この手法自体は、すでに個別の製薬企業との受託事業で使用しており、実績もあがってきているという。同社では、製品版の「CzeekD」は薬化学者(メディシナルケミスト)が自ら使用できるソフトに仕上げたい考え。スコアリングエンジンとなる「CzeekS」は背後に隠し、専門知識を持つ計算化学者が運用をサポートするような体制を想定しているという。

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<関連リンク>:

京都コンステラ・テクノロジーズ(トップページ)
http://www.k-ct.jp/

京都コンステラ・テクノロジーズ(CzeekD製品紹介ページ)
http://www.k-ct.jp/service/czeekd.html


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