CCS特集2014年夏:アドバンスソフト

ナノ材料設計の実用性向上、EELS予測など実現

 2014.06.25−アドバンスソフトは、ナノ材料設計向けの第一原理計算ソフト「Advance/PHASE」を機能強化し、8月に最新バージョン3.3をリリースする。金属・半導体・絶縁体・磁性体・誘電体など、ナノスケールの材料のバルク特性、表面や界面の解析などに広く応用することが可能。最新版では、実験と関連付けた考察が可能になるような現実的なシミュレーションを実現させているという。

 この製品は、文部科学省プロジェクトとして実施された「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」の成果をベースにつくられた商用版で、もとの公開バージョンに対して独自の機能追加が施されている。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の「PhaseViewer」も使いやすくなっており、計算結果の理解を深めることが容易だ。

 とくに今回の最新版では、電子エネルギー損失分光(EELS)スペクトル計算機能を実装する。これは、電子顕微鏡によって得られる情報の1つで、ピークの波形を非常に正確に予測することが可能になった。このため、実験結果との直接的な比較も行える。

 また、溶媒効果を考慮した3D-RISM-SCF法を取り入れた。溶媒を連続体として近似し、第一原理との連成計算を行うものだが、PHASEのような平面波基底のプログラムに3D-RISM法を組み込んだのは世界でも初めてだという。

 さらに同社では、高速計算環境として注目されているインテルの「Xeon Phi」(ジーオンファイ)に対応したバージョンの準備も進めている。アクセラレーターとしてPCワークステーションに組み込むことにより、社内の評価では約45倍の速度向上を達成した。500原子クラスの系が実用的に計算できるため、不純物や欠陥構造を含む実際のナノ材料をそのままモデル化できるとして注目される。


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