CTCライフサイエンスが知識ベース利用の毒性予測ソフト最新版

Derek Nexusバージョン4.0を発売、変異原性予測でさらに深い考察が可能

 2014.09.27−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、英Lhasaが開発した知識ベース手法による毒性予測システム「Derek Nexus」の最新バージョン4.0を国内で販売開始した。日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)のM7(潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中 DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理)ガイドラインの関連で注目されている製品で、このソフトによる毒性評価結果を実際の毒性試験を代替するデータとして提出することが可能。今回の最新版では、同ガイドラインの施行を見越した機能強化が実装されているという。

 「Derek Nexus」は、化合物の構造からその潜在的な毒性をインシリコで予測する機能を持っている。学術文献や公共データベース、毒性学者から提供された多くの情報に基づき、構造活性相関(SAR)の経験則をルール化したアラートにより、評価対象の化合物に対して定性的な毒性予測を行う。

 具体的には、Ames突然変異原性、染色体異常などの遺伝毒性、発がん性、皮膚感作性、刺激性、肝毒性、HERGチャネル阻害性、生殖発生毒性、呼吸器感作性などの予測が可能。予測結果には、その根拠となる部分構造と、毒性発現メカニズムの考察や既知毒性知見、リファレンス情報がわかりやすく表示される。また、化合物の分子量やlogPなどの物性値、プロパティーも考慮しながら予測結果の確からしさを判定するアルゴリズムも組み込まれている。

 とくに、今回の最新バージョン4.0では、CGX、FDA CFSANほかのAmes変異原性の6種類のデータセットで構成される“Lhasa Ames test reference set”が追加された。これを用いた“ネガティブ予測機能”により、最初の予測時にアラートがヒットしなくても、対象化合物中にこのデータセットに含まれるパターン構造に一致するものがないかを調べ、見つかればその構造的特徴がハイライトされるようになった。このため、Ames変異原性予測に関するさらに深い考察を行うことができる。

 M7ガイドラインにはコンピューターによる毒性評価法が明記されており、知識ベースと統計ベースの2種類の構造活性相関手法で細菌を用いた変異原性試験の結果を予測し、ともに陰性であれば実際の試験が免除される。統計ベースの毒性予測ソフトは多くのベンダーから製品化が行われているが、知識ベースの予測ソフトは「Derek Nexus」以外には商用ソフトはほとんど見当たらないといわれている。

 開発元のLhasa社は1983年に設立された非営利団体。世界の260の企業や研究機関で構成されるコラボレーティブメンバーから得られたデータを利用して、毒性や代謝に関する知見を収集。それをもとに、ソフト開発、パッケージ販売、保守サポート、コンサルティングサービスなどを提供している。

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<関連リンク>:

CTCライフサイエンス(トップページ)
http://www.ctcls.co.jp/

CTCライフサイエンス(Derek Nexus 製品情報ページ)
http://www.ctcls.co.jp/products/lhasa/derek_nexus.html

Lhasa(トップページ)
http://www.lhasalimited.org/


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