インテルが新ブランド「Core M プロセッサー」を正式発表

“2 in 1 デバイス”向け超薄型設計可能、買い替え需要の刺激狙う

 2014.09.11−インテルは8日、14ナノメートル製造プロセスを採用した初めてのマイクロプロセッサーを開発、新ブランドの「Core M プロセッサー」として提供開始すると発表した。ノートPCとタブレット端末の両方の機能を持つ“2 in 1 デバイス”と呼ばれる製品領域に向けたプロセッサーで、ファンレス設計を可能とする超薄型で、処理性能とバッテリー駆動時間にも優れた製品の開発を可能にするという。同プロセッサーを搭載した製品は、今年の年末商戦にPCメーカー各社から発売される予定。

 新ブランドの「Core M プロセッサー」は、2010年の「Westmere」(開発コード名)にはじまる“インテル Core マイクロアーキテクチャー”の第5世代に当たる製品。第1世代の「Westmere」は32ナノメートルプロセスが採用され、グラフィックスを1つのパッケージに統合した先駆的なプロセッサーとして登場した。2011年の第2世代「Sandy Bridge」(同)は同じダイの中にグラフィックスを統合、2012年の第3世代「Ivy Bridge」(同)で22ナノメートルプロセスへの微細化を図った。2013年の第4世代「Haswell」(同)では、チップセットも1つのパッケージに統合したSoC(システムオンチップ)アプローチにより、ウルトラブックと呼ばれる製品カテゴリーをヒットさせた。

 今回の「Core M」(開発コード名はBroadwell)は、14ナノメートルプロセスを初めて採用し、トランジスター数は13億個と第4世代の1.4倍でありながら、ダイサイズとパッケージサイズはともに約半分に小型化されている。とくに、TDP(熱電力)が60%削減され、厚さ9ミリメートル以下のファンレス設計を実現。SoCのアイドル時消費電力を大幅に改善したことで、通常の使用で8時間以上のバッテリーライフが実現できるとしている。さらに、グラフィックスやチップセットの性能も大幅に強化されている。

 リファレンスデザインとして公開されている“2 in 1 デバイス”の「Llama Mountain」は高精細な12.5インチQHDパネル搭載で、ファンレスの7.2ミリメートル超薄型ボディを持つ。4年前の初代Coreプロセッサーと比べて、CPUとしての消費電力は18ワットから4.5ワットへと減少。当時のノートPCと比較したベンチマークでは、オフィスにおける生産性が最大2.1倍、ウェブアプリケーションのフォトエフェクトで最大2.3倍、3Dグラフィックスで最大7.1倍、ビデオ変換で最大7.6倍に向上。同様にバッテリーライフは電池容量が半減しつつ2倍、ストレージ性能は4倍、無線LANの性能は3倍、USBの転送速度も10倍に高速化しているという。

 第4世代Coreプロセッサーを採用したノートPCと比較しても、オフィスにおける生産性で最大19%、ウェブアプリケーションのフォトエフェクトで最大12%、3Dグラフィックスで最大47%、ビデオ変換で最大82%−性能が向上している。バッテリーライフの面では、SoCのアイドル時消費電力の改善やオーディオ機能の統合、チップセットの低消費電力化などの効果により、ビデオ再生で6.9時間から8.6時間(103分の改善)、アイドル状態で8.8時間から10時間(同74分)、ウェブブラウジングで7.4時間から8.4時間(同63分)、通常の使用条件に近いMobileMarkベンチマークで6.7時間から7.6時間(同54分)の駆動時間向上が確認されているということだ。

 9日に開かれた記者説明会で、同社はPCの買い替えサイクルを短縮させる思惑があると述べた。「4年以上前に購入された古いPCが世界で6億台以上使われているが、魅力ある商品がきっかけとなってそのうちの5%でも買い替えを1年早めてくれると、それだけで2兆円の経済効果がある」という。同社が米国と中国で調査したところによると、タブレット端末を購入しようとした人の約半数が店頭で“2 in 1 デバイス”を選択したほか、“2 in 1 デバイス”を購入したユーザーは通常のPCユーザーよりも1年早く買い替えるという結果が出た。また日本でも、タブレットユーザーの約4割が次の買い替えで“2 in 1 デバイス”を検討しているという。

 「Core M」は、その“2 in 1 デバイス”市場に明確に的を絞ったプロセッサーで、基本的には高額なハイエンド商品ではなく、ボリュームゾーンの主要価格帯の製品に搭載されることを前提にしているようだ。マイクロソフトの「Surface Pro 3」のヒットで“2 in 1 デバイス”というカテゴリーへの関心が高まるなか、年末商戦での反響が注目されよう。








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<関連リンク>:

インテル(トップページ)
http://www.intel.co.jp/

インテル(Core M プロセッサー 製品情報ページ)
http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/processors/core/core-m-processors.html


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