PreFEEDが化学プラントビッグデータ解析の新手法

実データから品質不良などの原因分析、日米で特許取得

 2015.04.08−PreFEED(本社・東京都目黒区、熊谷善夫社長)は、化学プラントのビッグデータを効率良く解析する新手法を開発、このほど特許(日本・米国)を取得した。「累積異常解析」(Discretized Data Analysis:DDA)と名付けており、実際に化学企業などに対するコンサルティングを通じ、製造プロセスでの品質不良の原因特定などで威力を発揮したという。エクセルを使って解析できるため、敷居が低いのも特徴。今後、同様にデータ変数が多いバイオや食品なども含めてこの技術の適用分野を広げていく。

 化学プラントには数多くのセンサーがあり、現場ではまさにビッグデータが集積されている。しかし、連続やバッチなど工程もさまざまで、工程ごとにデータ測定頻度が異なることに加え、原料ロット変更や供給スチーム圧力変動、リサイクル組成の変化など、外乱となる要素がいくつもある。このため、多くの変数が複雑に影響し合い、多変量解析などの手法を用いても、データ間の相関関係を調べることが困難な場合が多かった。

 実際、製品の色品質悪化の原因を探りたいという顧客の要望に対処した事例では、研究開発段階では温度と色に関係があることがわかっていたものの、実際のプラントデータからは両者の相関を示す数値は得られなかった。そこで、閾値を設定してデータを離散化し、正常か異常かに二値化して、異常が生じた回数を累積させることにした。

 経験的に、異常な事象を示す割合は、全データ件数のうち1〜2割であると設定し、その数まで異常が累積するように閾値を調整する。色と温度のデータの閾値をそれぞれそのように調整すると、両者に強い相関があらわれることがわかった。

 一方、どのデータが異常に関係しているかの事前知識がまったくない場合でも、累積異常解析手法を利用して、関係が強いと思われる因子をあぶり出すことが可能。例えば、製品純度の低下因子を特定するケースでは、純度の異常を累積した曲線をテンプレートにし、プラントから得られた原料濃度、反応収率、温度、加熱後収率、濃縮後液量のデータを、閾値から外れた累積異常曲線としてプロットして重ねてみる。そうすると、濃縮後の液量が少ないときと製品純度の低下のタイミングが一致していること、また加熱後の収縮が低い場合も同様のパターンを示すことが判明する(別図参照)。

 このように、累積異常解析は、累積異常曲線の変曲点が一致している変数が原因変数である可能性が高いという前提に従って解析を進める。通常の統計解析で因子をみつけにくい場合に有効な手法で、幅広い条件でのプラントの実際の挙動を示しているビッグデータをそのまま用いるので、プラントの安全運転や品質・収率の向上を図ることに役立つという。

 同社では、今回の特許に関し、個人での利用には制約を設けない考え。ただし、DCSなどとつないでプラントや工場規模でオンライン解析・オフライン解析などに応用する場合は、正式にライセンス契約が必要になる。

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