菱化システムが生体高分子関連機能を強化した「MOE」最新版をリリース

新たなドッキング手法を導入、タンパク質間相互作用解析機能も強化

 2015.12.15−菱化システムは、加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)が開発している統合計算化学システムの最新版「MOE 2015.10」(バージョン番号は予定)を年明けにも国内市場へリリースする。創薬・生命科学研究のための統合的なモデリング&シミュレーション環境を提供するもので、近年の機能強化の方向性を継承して、タンパク質などの生体高分子を扱う機能がさらに充実した。モデリングの専門家向けの最先端の機能性を追求する一方、現場のベンチケミストが実験の考察や指針を得る目的で手軽に利用できる柔軟性も備えており、活用シーンが大きく広がってきているという。

 今回の最新版では、タンパク質とリガンドのドッキング解析のためのインターフェースが改良された。共通の画面内でタブをクリックして目的別に操作系を切り替えることが可能。通常のドッキング、ファーマコフォアドッキングのほか、新しく電子密度ドッキング、類似性や部分構造を使ったテンプレートドッキング、共有結合性ドッキング、タンパク質−タンパク質ドッキングの専用インターフェースが追加された。また、画面内から外部のドッキングツールと連携することもできる。

 電子密度ドッキングは、リガンドの歪エネルギーを最小化しつつ電子密度とのフィッティングを最大化する仕組み。力場エネルギーと電子密度を考慮した新ドッキング法となっている。また、共有結合性ドッキングは、受容体と共有結合を形成するリガンドのドッキング解析で、インデュースドフィットにより受容体とのフィッティングを考慮しつつ、結合ポケットの中でリガンドの構造最適化を行う。反応式によって共有結合を定義できるのでわかりやすいことも特徴。

 タンパク質−タンパク質ドッキングは、その相互作用部位を解析することにより、タンパク質の機能を理解したり、ホットスポットを特定したり、相互作用の変調を標的として活用したりすることに役立つ。解析方法としては、タンパク質のビーズモデルに基づく粗粒残基を定義・構築し、解析手法の精度を上げながら段階的にサンプルを絞り込んでいく。まず、フーリエ変換を用いた並進、回転空間の高速検索を実施し、スコアのトップ5,000配座に対するファンデルワールス相互作用と粗い静電相互作用による構造最適化を実施。次に、スコアのトップ1,000配座に対して残基ベースのGB/VI溶媒和モデルに基づく構造最適化を行う。

 さらに、こうしたドッキング解析とともに、タンパク質間相互作用を解析する“Protein Contacts”も機能が刷新されている。水素結合に基づく金属・イオン・アレン相互作用、ジスルフィド結合を検出し、どの残基が強く相互作用しているかを示す相互作用エネルギーを算出。同じタンパク質ファミリーの複数の構造でみられた相互作用をフィルターとして保存し、どのパターンでも相互作用が共通しているなど、重要な残基をフィルタリングによって検出することができる。

 そのほか、シーケンスエディターが機能強化され、アラインメント、重ね合わせ、コンセンサス解析機能が統合されたことに加え、ドメイン単位のタンパク質相同性検索も可能になった。

 一方、低分子対象の機能としては、13C-NMR解析機能が注目されている。これは、量子化学計算プログラムGaussianを組み合わせて利用する機能で、リガンド配座をGaussianで構造最適化し、各配座について13Cの遮蔽定数をGaussianで推算することができる。計算結果を可視化し、実験値と計算値の化学シフトを比較することにより、立体異性体の検出などに応用することが可能である。

 MOEは、こうした高度なモデリング機能をさまざまなユーザーインターフェースで使いこなすことが可能。専門家向けの専用GUIのほか、ウェブブラウザーから利用できる「MOE/Web」も用意されている。また、メディシナルケミストが使用する機能だけにわかりやすく絞り込んだオリジナルメニューの開発なども容易に行える。ワークフローツールのKINIMEに組み込むことも可能。このため、MOEを創薬研究の共通基盤として計算化学者から実験研究者にまで幅広く展開する企業が増えてきているという。









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<関連リンク>:

菱化システム(科学技術システム事業部のトップページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/index.html

菱化システム(MOE 製品情報ページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/ccg/index.html

加CCG(トップページ)
http://www.chemcomp.com/


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