BIOVIAが医薬・バイオ市場向けの新たな製品体系

製品連携で研究開発プロセス改善、ELNとLIMS統合など

 2016.01.30−ダッソー・システムズ・バイオビア(BIOVIA)は、親会社のダッソー・システムズ(3ds)が推進するインダストリー・ソリューション・エクスペリエンスに対応し、医薬・バイオ市場向けの新たな製品体系を核にした新戦略を打ち出した。「ONE Lab」「Made to Cure」「License to Cure」「Designed to Cure」の4種類があり、顧客の研究開発プロセスを改善することを目的にしている。適用領域や業務に合わせて複数の製品を組み合わせたものだが、最終的にはユーザーにプログラムを使い分ける意識を持たせないようなスムーズな連携を目指していく。

 今回の医薬・バイオ向けインダストリー・ソリューション・エクスペリエンスは、自動車や航空宇宙など機械設計関連の既存PLM(製品ライフサイクルマネジメント)市場ですでに実績がある取り組みを、ライフサイエンス領域へ拡張することが狙い。オープンで協調的な開発や研究のための環境、一元化されたラボ管理、効率的な生産プロセス、品質およびコンプライアンスの統合管理といった機能を提供する。最終的には、患者にとって効果的な治療薬を素早くかつ低価格で市場に提供できるようにすることが目標となっている。

 とくに、このような複数の製品が連携するソリューションの場合、それを構成するプログラムのバージョンが異なっていると、一部のバージョンアップが遅れて連携しないなどエクスペリエンスとして噛み合わない恐れもある。このため、同社は開発スケジュールを全面的に見直し、全プログラムのリリースサイクルを統一。昨年12月に一斉リリースを果たしており、今回の新体系はこれがベースになっている。今後は夏と冬の年2回リリース(夏がメジャーバージョンアップ)を基本にしていくという。

 では、具体的に4つのソリューションをみていくと、まず「ONE Lab」は電子実験ノートブック(ELN)と研究所統合情報管理システム(LIMS)を統合し、実験の計画から実行までをサポートするとともに、実験に関係したあらゆるリソースを統合管理する機能を持っている。創薬研究の情報基盤となるソリューションだ。

 また、「Made to Cure」は製造プロセスの検証やモニタリング、品質のコントロール、クオリティ・バイ・デザイン(QbD)を目指すもので、製品としては「BIOVIA Discoverant」を中心に、コンプライアンスソリューションの「BIOVIA QUMAS」の一部機能が統合されている。さらに、「BIOVIA PipelinePilot」を用いて必要な情報をオンデマンドで引き出すためのダッシュボード機能を実現している。

 「License to Cure」は、コンプライアンスをベースに新薬申請プロセスを迅速化するためのソリューション。「BIOVIA QUMAS」をメインに、申請用のデータやドキュメントを統合管理するとともに、外部機関との連携などプロセス自体を改善・効率化する機能を提供する。データ処理のために「BIOVIA PipelinePilot」が使われるほか、医療機器を開発し申請するためのPLMソリューションもここに含まれている。

 「Designed to Cure」は、新薬開発のための分子シミュレーション&モデリングシステムを核にしており、統合ソフトの「BIOVIA Discovery Studio」や、材料設計向け「BIOVIA Materials Studio」で医薬開発に利用できる一部機能、「BIOVIA PipelinePilot」を使った各種物性予測、共同研究のプラットホームとなる「ScienceCloud」などで構成される。

 現在はこの4つだが、今後新しい製品体系が追加される可能性もあるようだ。いずれにしても、これまでのCCSベンダーにはみられなかった新しい試みであり、実際の使用感などに基づくユーザー評価が注目される。



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<関連リンク>:

BIOVIA(日本語トップページ)
http://accelrys.co.jp/

ダッソー・システムズ(インダストリー・ソリューション・エクスペリエンスの紹介ページ)
http://www.3ds.com/industries/


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