2016年夏CCS特集:バイオモデリングリサーチ

インシリコ計算を支援、研究者視点のサービス提供

 2016.06.23−バイオモデリングリサーチは、名古屋に本拠を置く計算化学ベンダー。ライフサイエンス分野におけるインシリコスクリーニング研究を支援することを得意としている。とくに最近では、医師や構造生物学者が創薬研究に取り組むケースが増えているが、そうした際にIT面からのサポートサービスを提供することで実績を重ねている。

 同社は2012年の設立。代表の中村寛則社長が大学時代の経験を生かし、インシリコスクリーニングの有効性を実証したいとの思いで起業したのがスタートである。ライフサイエンス研究者はITに不慣れな場合が多いため、実際的なサポートに力を入れており、計算によるスクリーニングのあと、ヒット化合物を実際にスクリーニング実験する際に、それぞれの化合物をどこからどのくらい購入するのが適当かなど、化合物調達の相談にも応じているという。研究者の視点でサポートできることが強みだ。

 計算については、国産フリーの創薬支援ソフトである「myPresto」を主に利用している。分子動力学法とドッキングシミュレーションが統合されたパッケージで、高機能だが初心者が使いこなすのは難しい。これに対応したGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ソフトとして、情報数理バイオの「Mol Desk」、フィアラックスの「MF myPresto」の販売も行っている。

 また、myPrestoの受託計算サービスも提供。FOCUSスパコン(計算科学振興財団)やHGCスパコン(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター)を使用して、1,000コア以上の大規模計算を実施した経験もある。同社では、スクリーニング自体はハイスループットで実験することができるため、計算は1,000件程度までに絞り込みを高速で行えればよいという考え方だという。できるだけ多く実験するのがベターで、そのための材料を提供するツールとして計算を位置づけている。

 一方、同社では特殊分子模型「Kawakami Model」の販売も行っている。内部骨格構造をカラー、表面構造を透明シリコーン樹脂で表現した模型で、スタジオミダスが3Dプリンターで制作するもの。全体が不透明で低価格のタイプも用意されている。


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