2016年夏CCS特集:富士通

分析向けサービス強化、クラウド上で新たなソフト

 2016.06.23−富士通は、情報化学系で米パーキンエルマー、ハンガリーのケムアクソン、加ACD/Labs、計算化学系では自社開発の「SCIGRESS」を提供。昨年は、電子実験ノートが好調に推移し、バージョンアップや新規案件に裾野の広がりがあったことに加え、パトコアのパートナーとして、ケムアクソン製品がいわゆるポストISIS市場で伸びたという。

 今年は、これらの継続的な取り組みを強めつつ、ACD/Labs製品の普及にもあらためて力を入れる。質量分析やNMRなどのデータを大量に処理・保管し、各種の解析に利用するための豊富なツールを提供。さらに、クロマトグラフへと対象機器を広げているほか、特定の目的に向けて製品を組み上げるサービス事業にも乗り出しつつある。第1弾は「ACD/MetaSence」として登場する予定で、質量分析による代謝物解析を総合的に支援するソリューションになる。年内にさらに3つのソリューションが待機中だという。

 一方、計算化学系では、SCIGRESSの機能強化を着々と進めており、外部のオープンソースソルバーとして、LAMMPS、PHASE、QuantumESPRESSOとのインターフェースを強化。半経験的分子軌道法と分子動力学法の自社製ソルバーを補完し、材料研究者に訴求できるソリューションとして提案活動を強めている。

 とくに、解析シミュレーション専用のHPCクラウドサービス「TCクラウド」のメニューにSCIGRESSが入っており、社内に導入せずクラウド経由で利用することも可能。4月からは新たに「Gaussian09」の提供準備を整え、1ノード時間120円(サポート付)でサービス開始した。同社は、今年9月に東京工業大学で開催されるGaussianワークショップのスポンサーにもなっている。

 また、材料研究分野では人工知能(AI)インフォマティクス活用が新たなブームになりつつある。AI研究は富士通の得意技術でもあり、先ごろ開催された富士通フォーラムでもその強みを存分に披露した。材料インフォマティクスも、富士通の総合力を生かして取り組みたい市場に位置づけられているという。


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