ダッソー・システムズが2017年度国内重点分野を発表

先端シミュレーション領域を拡充、都市モデリングプロジェクトも

 2017.03.30−ダッソー・システムズは22日、2017年度の事業戦略説明会をプレス向けに開催した。インダストリー4.0関連の需要で好調な製造系ソリューションの流れを受け、買収で厚みを増した設計・解析系製品で自動車やハイテクなど製造業向けの販売を伸ばすほか、中小・中堅ユーザーを対象にクラウド版製品の普及に本格的に乗り出すこと、都市を丸ごとモデリングしてビッグデータ解析などと組み合わせる「3DEXPERIENCity」プロジェクトを日本でも開始することなどを表明した。

 2016年度(2016年12月期)の同社のワールドワイドでの売り上げは、IFRSベースで30億5,600万ユーロ。前年比8%の伸び。全体としてツール単体の販売からソリューション型へとシフトしており、「3Dエクスペリエンス」製品群の販売が同25%増と非常に好調だった。自動車、航空、産業機械など従来から基盤だった産業分野に対し、ハイテク、船舶・海洋、エネルギー・プロセスなどの新規産業向けが全体の売上比率の31%を占めるまでに成長してきている。

 個別の製品分野では、製造実行系のDELMIA Aprisoが同17%増、サプライチェーン最適化のDELMIA Quinyiqが同30%増と牽引役を果たした。Aprisoは日本でも受注好調で、対応が追いつかないほどだったという。とくに、デジタルトランスフォーメーションやインダストリー4.0をキーワードに「3Dエクスペリエンスプラットホーム」への関心が高まっている。日本では、なかでも自動車、船舶・海洋、ハイテク、ライフサイエンス、エネルギー・プロセス、建築・建設をターゲットにしている。

 2017年度の国内事業戦略については、拡充されたシミュレーション分野への展開を強化する方針。まず、電磁界解析ソフト「CST」で、低周波から高周波まで広く対応が可能。とくに、カーエレクトロニクス化の進展で電子デバイスが高密度に配置された車体の中で、電磁場の干渉が問題になるケースが増えている。また、IoTデバイスの普及や移動体通信の5Gへの移行で、ハイテク分野でも電磁界解析の需要が急増すると期待されている。

 また、流体解析ソフト「XFlow」は、運動方程式を解く通常の流体ソフトと異なり、最先端の格子ボルツマン法によるシミュレーションが特徴。ギアオイルのかき上げなど、これまでのソフトでは精度良く解析できなかった分野にも対応できるという。さらに、振動騒音&流体騒音解析ソフト「wave6」は、有限要素法(FEM)や境界要素法(BEM)に加え統計エネルギー法(SEA)に対応したソルバーを内蔵しており、幅広い周波数領域をカバーできる。昨年買収したこれらのシミュレーションソフトを日本市場で拡販することを、今年の大きな目標に位置づけている。

 一方、「3DEXPERIENCity」は、シンガポールで進めている「バーチャルシンガポールプロジェクト」(2014〜2020年)をもとに製品化されたもので、今年から国内でも新事業として本格的に展開していく。国内の自治体での採用を目指し、部署横断型の専任組織を立ち上げた。これは、都市を丸ごと高精細な3Dモデルで再現し、そこにリアルワールドのビッグデータを重ね合わせて解析することで、セキュリティや環境、モビリティ、エネルギー、衛生など、都市のさまざまな課題解決に役立てることを志向している。初年度は政令指定都市を対象に初受注を狙いたいということだ。

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<関連リンク>:

ダッソー・システムズ(トップページ)
https://www.3ds.com/ja/

DELMIA(トップページ)
https://www.3ds.com/ja/products-services/delmia/

CST(トップページ)
https://www.cst.com/

XFlow(トップページ)
http://www.xflowcfd.com/

wave6(トップページ)
https://wavesix.com/?lang=ja

3DEXPERIENCity(トップページ)
https://www.3ds.com/ja/stories/how-can-technology-shape-the-future/imagining-more-sustainable-city/


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